厚労省「第12回肝炎対策推進協議会」・「肝炎フォーラム」と「戦線点描」

 8日は肝炎フォーラムが東京であったので参加した。B型肝炎訴訟原告団弁護団、日肝協、薬害肝炎原告団弁護団の3者で開催しているもので、国の肝炎対策をどう進めるべきか、肝炎対策推進協議会への対応、厚労大臣協議への対応などを話し合っている。
 翌日は「第12回肝炎対策推進協議会」があったので傍聴してきた。協議会の委員の任期は2年間で5月末に切れて、改選された。私も委員を辞した。患者代表委員は7名いるがこのうち4名が変更になった。頼もしいメンバーである。大賀和男(日肝協・再)・岡田京子(B型肝炎訴訟・新)・清本太一(B型肝炎訴訟・再)・武田せい子(薬害肝炎訴訟・再)・西村慎太郎(日肝協・新)・野宮隆志(薬害肝炎訴訟・新)・米澤敦子(日肝協・新)である。平均年齢も下がった。年も若い委員が協議会で積極的に発言して、患者の要求を代弁してくれることはありがたいことである。
 協議会では、患者委員7名連名で「ウイルス性肝臓病(肝硬変・肝がん)患者への支援について(要望)」が出された。要望内容は以下の通りである。
1.下記事項を推進してください。
 ①ウイルス性肝硬変・肝がんに係る医療費の助成制度を創設してください。
 ②身体障害者福祉法上の肝臓機能障害による身体障害者手帳の認定基準を緩和し、患者の実態に応じた認定制度に見直してください。
2.担当部門への要望事項
 ①肝炎対策推進室への要望
 ウイルス性肝硬変・肝がんに係る医療費助成制度に関する前回協議会での議論を踏まえ、検討を着実に進めてください。
 ②社会援護局傷害保健福祉部企画課への要望
 身体障害者手帳認定基準見直しに対する平成26年度に開始された研究班の検討を速やかに行い、平成27年度には新しい制度での適用をしてください。

 以上は、私たちが国会請願署名などで求めてきた内容で、国・厚労省に前向きの検討をさせる取り組みが、今後重要になってきている。例年、予算要求を協議会名で厚労大臣に出してきたが、それが今回は出てきていなかった。患者委員の要求で、この要望書を基に予算要求書を作ることになった。

 協議会では、①各自治体における肝炎対策の取り組み状況 ②肝炎対策基本法に係る施行状況 が報告された。自治体により大きなアンバランスがあることが指摘された。たとえば、肝炎対策推進協議会の設置・開催状況では、協議会が未設置は6自治体あり、平成25年度未開催が2自治体あった。未設置のなかにはがん対策の中で協議しているとしたところもあるが、ウイルス性肝炎患者の多さを考えるとそんな姑息な手段では許されないだろう。また、未開催自治体の理由として、「協議事項がないため」「日程調整の不調」が上げられていた。自治体の肝炎対策に対する姿勢が問われる問題である。
 協議会では、「肝炎ウイルスキャリアと患者数の動向について」(田中委員)の報告がされた。従来厚労省ではキャリア・患者数は300万人〜370万人(B型:117万人〜147万人、C型:227万人〜267万人)と推定して、これを根拠に政策・予算を考えてきた。今回の田中研究では210万人〜280万人と推定している。厚労省の基礎とする数字は今後どうするか検討するとの回答があった。この研究では感染を知ったが継続的な受診をしていないひとが57万人〜120万人いるということで、これらの人にどう対応するかが話し合われた。ウイルス検査をしていない人も大変多いが、知りながら受診しない人の病気の重症化が懸念される。
 また、「慢性ウイルス性肝疾患患者の情報収集の在り方等に関する研究」(相澤英樹参考人 国立感染症研究所・ウイルス第2部)の報告もあった。肝炎のフォローアップが比較的進んでいる3自治体を取り上げて調査している。多くの自治体が導入しやすい陽性者フォローアップシステムを構築することの必要性を感じた。今のところ肝炎の専門医療機関70施設ほどで試験的に導入し、順次広げていくようだ。職域をどうするか、医師会との協力共同をどう進めるかについて委員から意見が出された。
 私が以前要求した、B型肝炎訴訟の裁判所別提訴者数・和解者数も資料として今回も出された。5月末日の資料によると、提訴者数15,456人、和解者数7,900人。病態別では、死亡・肝がんまたは重度の肝硬変2,478人、軽度の肝硬変582人、慢性肝炎3,212人、キャリア1,628人であった。
 集計時期は違うが全国B型肝炎訴訟原告団弁護団の7月1日の集計では、提訴者数12,924人、和解者数7,196人であった。両者の差が、全国原告団弁護団に加わっていない原告の数字になるのだろう。

 今回の協議会でも発言する委員はほとんど患者委員ばかり。それだけ真剣に肝炎対策を考えているし、わが身の今日・明日にかかわることなので真剣にならざるを得ない。厚労省も他の委員も、私たちの声と真摯に向き合ってほしい。


 前回東京に行ったとき、東京駅八重洲北口地下の古書店で購入した(B5版 292ページ 一部カラー 函入り)。安倍政権が集団的自衛権を声高に唱えているが、その行き着く先が他人を殺し(他国だけでなく自国も含め)自分も殺すことになるということは普通の頭で考えると当然のことである。昭和17年4月発行のこの本、定価は4円、68年後に古書として購入したのが2,500円。当時の著名な作家や画家の作品も含まれている。箱には、「陸軍報道部推薦 出征兵士の戦場における体験記録、大東亜戦争を記念する芸術的記録」とある。しかし、なかなか芸術的とは言いがたい。

 大隈俊雄の「林檎二顆」という一文の中に、以下の文章があった。
 「これを持っていって、やってくれ。」
 「はい、誰にでありますか。」
 「むこうに、いま安置してきた戦死の鈴木と安藤のところだ。稲垣にやったらひとつになったが、二名で仲よく分けて食べるように、あれ達の枕元に供えてくれ」
 「はい」
 返事はしたものの、隊長の手からそれを受取ることを私は躊躇した。林檎は掌の上で慄えている。隊長の眼には涙が光っていた。


 昭和12年11月13日の間宮正の「上海江湾鎮爆撃」と題する絵である。

 1937年7月7日の日本軍による盧溝橋事件に引き続き、8月13日には第2次上海事変により、日中戦争は長期化・泥沼化していった。そんな時期の絵である。黒煙が立つそばで、飛行機が爆撃を続けている。




我が家の郷土玩具  広島  三次土人形  松かさ負い天神


どどいつ入門(中道風迅洞 1986年 徳間書店
○欲を云ふなら情けの艶に 時の匂ひを持たせたい
○木にも石にも情をこめて つやを出しやこそ歌になる
○歌は皆まで云はぬが花よ 絵でもぼかさにや絵にならぬ