「文学と映画からみる戦争(1)」 樋浦明夫 などなど  荷風

 昨年12月に著者から頂いた「文学と映画からみる戦争(1)」をようやく読み終えた。先月16日までに3分の1ほど読み進め、1日に終わった。
 後半部分の言及は「球形の荒野」(松本清張)、「帰郷」(大仏次郎)、「流れる星は生きている」(藤原てい)、「俘虜記」(大岡昇平)、「迷路」(野上弥生子)、「生きている兵隊」(石川達三)、「断腸亭日乗」(永井荷風)。
 「断腸亭日乗」に関する記事は、本書の3分の1を占めていて、著者の傾倒振りがうかがわれる。著者が読んだのは「摘録断腸亭日乗」(上下2冊 約1,200P 磯田光一編)であった。
 岩波書店では、以下のように紹介していた。
 「永井荷風(1879〜1959)38歳から79歳の死の直前まで42年間にわたって日記を書きつづけた。断腸亭は荷風の別号、日乗とは日記のこと。岩波版全集で約3千ページにのぼるその全文からエッセンスを抄出し読みやすい形で提供する。この壮絶な個人主義者はいかに生き、いかに時代を見つづけたか。」
 小学校からの友人で、今でも付き合っている彼の父親は荷風全集を持っていた。私が全部読むかどうかは別にして、うらやましかった。その全集は全30巻、別巻1巻。断腸亭日乗はそのうちの全部で6巻を占めていた。作家によると、日記は公開されることを意識して書いている人もいると言う。荷風はどうであったのだろうか。反骨の個人主義者である荷風の生き様と、当時(戦時)の日本が理解される本書であった。
 私が読んだ荷風は、「腕くらべ」「あめりか物語」「墨東綺譚」「夏すがた」だけ。高校生時代でもう50年ほど前、荷風を少し覗いただけにすぎない。少し付け加えると、これらの本は高校時代に通学する際の通り道にあった「山王書房」(東京都大田区)という古書店で購入したものと思う。母親から貰う昼飯代を少しずつためて買ったのだろう。この書店については自費出版した「孺子の牛」の「3.馬込文士村」とこのブログでは「野呂邦暢と『昔日の客』関口良雄」(2012年7月22日)のところで言及している。読んでみたら、なぜ私が本を読むのが好きになったのかを理解してくれるだろう。参考:馬込文学マラソン http://www.designroomrune.com/magome/setumei/explain/explain_01.html

 1日には、守大助を支援する徳島の会の事務局長と、会費の集金・会員拡大に行ってきた。少しでも増えて、役割を果たせたか。2日(火)の午前中は、久しぶりに連れ合いと大麻山に登ってきた。昨日(3日)は、「ブログで中国 孺子の牛其の三」の原稿(USBでだが)を印刷所に持っていった。また、11月9日の肝炎医療講演会・B型肝炎特措法説明会への徳島県の後援をお願いしに行った。



我が家の郷土玩具  金沢 犬張子


どどいつ入門(中道風迅洞 1986年 徳間書店
○泣かずに別れる約束だった 遠い花火に眼をそらす
○ぬいだまんまである白足袋の そこが寂しい宵になる
○糊を利かした浴衣の袖に 秋が来てゐる肌ざわり