「安倍『壊憲』を撃つ」と月下美人

 表題の本は、戦争法が自公政権による強行採決前の18日に、大阪にB型肝炎訴訟裁判の傍聴に行った時に購入したもの。大阪から徳島に帰る高速バスの中で読んだ。

 憲法学者小林節とジャーナリストの佐高信との対談である。重に佐高が聞き役になっている。本の帯には、「百戦錬磨の論客による痘瘡宣言」とあった。また、「危機に立つ憲法。暴走する安倍政権が戦争法案の先に目論んでいるものとは」とも書いている。
 小林節は、今までに何度も自民党の国会議員に憲法についての話をしてきた。ところが最近は、その自民党からお呼びがかからない。小林の考えが変わったのではなく、自民党からハト派議員が消えて、憲法をないがしろにする安倍総裁が実権を握って自民党が変わったのだ。
 小林は「はじめに」の冒頭で、「今、私たち日本国民はとんでもない事態に直面している。つまり、主権者国民から一時的に国家権力を預かっているに過ぎない権力担当者(政治家以下の公務員)に対して主権者が課した最上位の制約(憲法)を権力者が公然と無視して憚らない事態(安倍『壊憲』)である。」と指摘している。また、戦争法は、「『非戦の大国』として尊敬されていた日本のPKOやNGOも、今後は、アメリカの他の友好国のチームと同様に、派遣先で敵対的な扱いを受けることになる。さらに、アメリカに続いて、我が国も『戦費破産』の道を辿ることになろう。」とも指摘している。アメリカにとっては自公政権の戦争法は、時刻の戦費を減らし兵士の戦死者を減らすことのできる、大きなプレゼントになる。アメリカが大歓迎するはずである。アメリカで減った分が、日本の負担となることは自明の理である。日本にとっては、「何の利益もなく、単に危険を増すだけの愚策」というのは、全くそのとおりであろう。
 安倍内閣は近々内閣改造を行うが、現在の閣僚の内15名が「日本会議」に加入している。このことについて小林は、「彼らに共通する思いは、第2次世界大戦で負けたことが受け入れがたく、その前の日本に戻したいと思っているようです。憲法改正によって彼らがつくろうとする新憲法明治憲法と同じです。明治憲法下の五大軍事大国となって世界に進軍したいと考えているみたい。よく見ると明治憲法下のエスタブリッシュだった人の子孫が多い。」なるほど、日本国民、世界の人びとにとっては、時代錯誤で危険な内閣ではある。
 小林は共産党の機関紙「赤旗」に登場している。憲法をないがしろにする自民党に愛想が尽きたようだ。幅広く憲法を守る諸団体・政党が「小異を捨てて大同につく」ことの必要性が求められている。共産党の志位委員長が「民主党・生活の党・社民党の代表らと話し合い、戦争法廃止の一致点で「国民連合政府」の実現をと呼びかけている。実現の過程は大変だろうが、自公政権を政権の座から引き下ろすことが、今一番の国民的課題であろうと思う。

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瀬尾茂信著(義父) 歌集「光十字に」から、
◯めしの色変わると知れど腹みたし翌朝みれば水牛の池
◯頑張れと叱咤の声に目覚めたる夜更けの床は野戦上なり
◯銃声に新兵飛び起き武装するその両の手ただ只ふるう
◯手榴弾の破裂時間を待ちきれず両足飛びぬ補充兵あわれ
マラリヤの口もきけざる高熱に浮かぶは父母と故郷の川