土屋桂一さん特集号と厚労大臣定期協議、「空企」(くうき)を読む

 7月2日(月)は東京で、全国B型肝炎訴訟原告団弁護団と厚労大臣との定期協議があったので傍聴参加した。会場は厚労省。全国から103名が集まり、私たちの要求を説明し、厚労省の見解をただした。協議では、①恒久対策について②啓発人権の課題について③歯科問題について、それぞれ原告が発言し、弁護団が補足質問をして、厚労大臣が回答をした。人権啓発問題は文科省法務省とも関連があり、それらの省ともきちんと協議して、適切な改善を図ってもらいたいと思った。
 後日、議事録が作成されるが、定期協議で話されたことが前進するよう期待したいし、私たちもその実現に力を尽くさなければならないと感じた。


 3日に徳島に帰って来たら、長野県の患者会から「ながの肝臓の友」という会報が届いた。今号は今年1月16日に肝臓がんで亡くなった前会長の土屋桂一さんの特集号になっている。多くの方が追悼の文を書いているが、徳島の会の近藤事務局長と私も一文を寄せた。
 1月18日のブログに彼については少し書いた。今回の短い文の中では、彼に対する気持ちを伝えきることはできない。「ご冥福をお祈りいたします。」などの言葉もとても書けない。厚労省の無策が大変多くの肝炎患者を作り出し、死なせてしまったからである。土屋さんもその一人であった。土屋さんには死んでも尚、厚労省の尻を叩いて、私たちと一緒に一日でも早く肝炎が治る病気にして欲しいと願うばかりである。40年近くもB型肝炎と闘ってきて、68歳で亡くなった土屋さんの無念を理解してもらうために、この追悼号、厚労大臣・肝炎対策室長にも送って欲しいと思う。
 大臣協議の最後に、全国B型肝炎訴訟原告代表の田中代表は、「まだまだゴールではない。」と言っていたが、土屋さんの例を挙げるまでもなく、まだ「端緒」でしかないと思う。まだまだ戦いは続く。多くの皆さんの運動への参加を願うばかりである。

 東京への行き帰りに田口さんから送られた川柳句集「空企」(くうき)を読んだ。私が読んだ川柳の本は「時実新子のじぐざく遍路」・「恋歌ノート」・「川柳のエロティシズ」・「はじめての江戸川柳」・「川柳絵本柳樽」・「手と足をもいだ丸太にしてかえし」/
田辺聖子「川柳でんでん太鼓」ぐらいである。
 書名の「空企」について著者は、「空に投企してみる。何もないところに、無常感から抜け出し、自分を投げ出してみる。時に晒し、時に置いてみる。」とあとがきで説明している。造語である。でてくる言葉を見ると、「月」が一番多い。あと目につくのは「卵」・「赤・紅」、「蝉」、「餅」、彼の嗜好が伺われる。肝心の、酒についての句があまりない。
 ◯焼酎に劇薬と書き飲み干す
 ◯生れなん来世も酒を飲む人に
 そして、さり気なく今の政治に対する批判が入っている。声高に批判するよりじわっと迫るほうがより説得力があると私も思う。
 一番気になった句は、「「歩いた先が道であった歩いてみる」。選者の西川さんの評もそのとおりと思うが、私が考えたのは、中国の文学者魯迅の小説「故郷」の最後に出てくる文章であった。
 「思うに希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。」(竹内好訳「魯迅文集 第1巻」筑摩書房







今年の目標
①中国語検定2級合格 不合格だったので、次回11月25日をめざす。
魯迅全集全20巻読了 現在、第5巻47ページまで読了。
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「山家鳥虫歌」(近世諸国民謡集 岩波文庫
◯鳥も通はぬ深山の奥に 住めば都ぢゃのよ殿よ
◯お台所の連子の窓に 月と書いたは待てとかや
◯胸で苦しき火は焚くけれど 煙立たねば人知らぬ
◯雨の降り出に名が立ち初めて 雨は止めども名はやまぬ
◯浮名立たして何故君は添わぬ 人がさますか我が嫌か