ロバート・ファン・ヒューリック「水底の妖」

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水底の妖(ハヤカワ・ポケット・ミステリ1829)

水底の妖(ハヤカワ・ポケット・ミステリ1829)

 ハヤカワミステリのシリーズもいよいよ終わりに近づいてきて、残るはあと1冊になった。本書の原著名は「THE CHINESE LAKE MURDERS」、中国語訳は「湖滨奇案」。調べてみたら、那須野巧東方書店のホームページ《中国・本の情報館》に「新訳で読む狄公案あるいは狄判事の物語」というのを書いていた。ロバート・ファン・ヒューリックの小説の面白さ、翻訳の比較、中国での狄仁傑ブームなど、原著者と狄仁傑の魅力が書かれている。
 著者あとがきに「五代戴堂」についての説明があった。「ひとつの屋根の下で五世代が住まう」「中国では西洋社会の風潮とはうらはらに、上層中流家庭はなるべく同じ敷地に住もうとする。だから、息子が結婚すると新世帯用に院子ひとつがあてがわれ、専用の厨房と召使がつく。親に仕えるのは子のつとめゆえに同じ場所に起居し、またさまざまな身内同士でそうやって密な協力関係を保ち、たえず互いに目配りし合えるからというのが理由だ。」とあった。このあとがきが書かれてすでに50年がたつのだから、中国の住宅事情・社会事情も全く変わってしまっているので、「五代戴堂」という言葉はすでに死語になってしまっているのではないだろうか。中日大辞典(大修館書店)にも「当代漢語詞典」「成語詞典」(商務印書館)にも「五代戴堂」という語句は掲載されていなかった。ただし、同じ意味の「五世同堂」語句については、中日大辞典にはあった。

 かなり昔の45年前、老舎の「四世同堂」という小説を読んだ。四世同堂とは、四世代が同じ家で暮らすことで、幸福な家庭の象徴とされている。これは辞書にあった。
 Yahoo百科事典によると、[ 執筆者:伊藤敬一 ]『中国の作家老舎(1899―1966)の100章三部作からなる抗戦期の代表的長編小説。第1部「煌惑(こうわく)」34章(1944〜45)、第2部「偸生(とうせい)」33章(1946)、第3部「飢荒(きこう)」〔1950年に20章まで発表。後半33章までの13章は亡失、82年Ida Pruitによる英抄訳本『The Yellow Storm』(1949・ニューヨーク)より馬小彌が重訳復原〕。北平(ペイピン)(現北京(ペキン))の小羊圏胡同(シヤオヤンチュワンフートン)に住む4世代同居の祁(チー)一家を中心にさまざまな町内の人々の伝統を愛する平穏な暮らしが、日本軍の北平占領によって脅かされ破壊される姿を克明に描き出し成功している。愛する北京が無惨にさびれ、飢えと死の恐怖、漢奸(かんかん)や特務の横行に、ただ当惑し、苦悩しながら生を偸(ぬす)むように生きる北平人もやがて抵抗に立ち上がる。密告、投獄、虐殺、餓死、凍死の続出するなかで庶民の抵抗運動も発展し、やがて日本投降の日を迎える。』
 私が読んだのは、古書店で購入した河出書房の「中国文学全集」に3冊に分けて収載されていた。老舎は、文化大革命の初期に紅衛兵の迫害にあい、入水自殺をした。日本でも知られた作家である。私の大学時代の先生は老舎と会った際のエピソードとして「老舎(Lao She)のSheは4声ですか、それとも3声ですかと」聞いた時、老舎は「どちらでもよい」と答えたそうだが、辞書で調べると3声になっていた。それこそ、どうでもよいことなのだろうが。
 老舎で読んだのは(勿論、翻訳で)「駱駝祥子」・「東海巴山集」・「離婚」・「牛天賜物語」・「龍鬚溝」・「春華秋実」・「猫城記」



我が家の張子面 うさぎ


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
  ●啼いているのを 面白そうに はたで見ている 籠の虫
  ●儂(わたし)や春野に 芽出しの若菜 高い高いと 人がいふ
  ●同じ流れに さて住みながら 鷺は眠るし 鵜は足探(あさ)る