無根のナショナリズムを超えて

 竹内好が再考されているらしい。今年3月に横浜に用事で行った時に立ち寄った書店で、表題の本を見つけた。
 買うと重いので、徳島に帰ってから紀伊国屋書店で購入した。ドイツや中国で竹内好のシンポジウムが開催されて、日本でも行われたのをまとめたのがこの一冊である。
 竹内好は40年前に卒論「武田泰淳と中国」を書く際に何冊か読んだ。「現代中国論」普通社・「魯迅」世界評論社・「竹内好評論集」(新編現代中国論・新編日本イデオロギー・日本とアジア)筑摩書房・「魯迅日本評論社・「国民文学論」東大出版会、であった。
 日本が近代化するに当たって、西欧の論理思考をそのまま導入してよいのかを問うていたように思う。今の中国は日本の歩んだ道を歩み、同じような間違いを犯そうとしているのではないか。もっと、アジア的な発展の道筋はないかを考えるシンポであった。
 しかし、この本を読んでいるとどうも難しい概念ばかりがでてきて、わかりにくかった。
 それでも、再度竹内好を考える手段として、「竹内好論」岩波現代文庫松本健一と「竹内好の文学精神」論創社・岡田麻子を読もうかと思い購入した。