大江健三郎 「新しい人」の方へ

「新しい人」の方へ

「新しい人」の方へ

 政治資金について、鳩山邦夫小沢一郎も、まったくいい加減で国民を愚弄していると思う。本書で大江はこう書いている。「まず、強い人でウソをつく人が、そのウソをあかるみに出されました。テレヴィニュースが、何度も同じヴィデオテープを映し出すのを見られたと思います。皆さんは、それらの国会議員たちが、ウソををいっていたと見破られながら、目の前にいる同僚議員たちや、テレヴィを見ている数多くの国民に対して、恥ずかしいと感じている様子がないことに驚かれたでしょう。ウソをつかない力のひとつに、自分が自分に持っている『誇り』があります。」
 そうすると、彼ら政治家は「誇り」がないということになるのだが、だからこそ米軍基地の普天間移設問題でも、後期高齢者医療制度障害者自立支援法の根本的見直しでも、高速道路料金の無料化でも、マニフェストで公約したことを、平気で翻すこともできるのだろう。
 こんな政治家に政党助成金を国民の税金から320億円(国民一人当たり250円)も支出する政治もおかしいものだ。事業仕分けで無駄の削減は、政治助成金から始めるべきだろう。
 知識人についても言及している。大江によれば知識人は本書では渡辺一夫夏目漱石エドワード・W・サイードということになる。渡辺はフランス文学者で彼の本を高校生のときに読んで、渡辺が教えている東大の仏文に入学している。その傾倒ぶりはすばらしい。学び方の真髄を渡辺から教わり実践してきている。サイードについてもいろんな本で大江は触れている。夏目漱石については他の本で、夏目のことについて詳しく書いているのだろうか。知りたいものだ。大江が通った松山東高校は、夏目が1年間英語を教えた松山中学であるので、若い頃には夏目の著作を多く読んだのだろう。我が家には夏目漱石の本は12冊しかないから、私は熱心な読者だったとはいえない。
 7月31日から8月4日まで、南アルプスに登山する。31日千枚小屋、1日荒川小屋、2日百間洞山の家、3日聖平小屋泊の予定だが、体力が続くかどうか心配である。今日、百間洞山の家の管理人を夫婦でしている次女から電話があった。元気そうであった。