大江健三郎「伝える言葉」プラス

「伝える言葉」プラス (朝日文庫)

「伝える言葉」プラス (朝日文庫)

 火曜日(13日)は、3時から内科の受診(高血圧)のあと、6時からの健生山の会の会合まで時間があったので、久しぶりに古書店モウラに行った。そこで購入したのは、『「新しい人」の方へ』(大江健三郎 朝日新聞社)・「悪霊」(ドストエフスキー 新潮文庫 上下)・「福助さん」(荒俣宏 筑摩書房)であった。
 「福助さん」はなかなか面白い。福助にまつわる話題・絵・人形が満載されている。江戸時代の引き札に出てくる福助はなかなか愛嬌があり、商売繁盛の元だ。そういえば、荒俣宏の本数冊を息子に貸したが、いつ戻ってくるのだろう。
福助さん

福助さん

 「伝える言葉」プラスの解説で、小野正嗣はこう書いている。「小さな本である。しかしはじめて大江健三郎という小説家・知識人の書いたものを読む人にとって、そしてまた大江健三郎の達成してきた膨大な仕事の一端に多少なりとも触れる幸運を持って来た同時代の人間にとっても、大きな――大きく、切実で、その意味で、大切な――本である。」と書いている。
 大江健三郎にとって、脳に障害をもって生まれた長男(光)の存在と、彼が求め続けている核兵器のない世界、沖縄の米軍基地の撤去は、小説でもエッセイでも一番の課題であり題材である。
 大江光は音楽に才能を開かせており、我が家には彼のCD「大江光の音楽」「大江光 ふたたび」がある。清澄な静かな音楽で、聞いていると心が落ち着く。