静かな生活

静かな生活

静かな生活

 大江健三郎は、この本が出版された前年に、ノーベル文学賞を受賞している。伊丹十三によって映画化もされているようだ。
 登場人物は、大江の家族がモデルとなっている。作家の父が母と共に外国に行って、その間主人公のマーちゃんという女子大学生と、障害を持つ兄と、予備校生の弟との静かなようで波乱にとんだ生活を、日記の形で描いている。
 表題を含め6編の連作小説になっている。1991年4月に購入して、20年近くも積読にしていた。酒などは長年置いておくと熟成して美味しい味になるのだが、小説はどうなるのだろうか。読み手が年をとるので、その意味では熟成もするのだろう。読む年齢が違ってくると、小説から読み取れる内容も違ってくる。