一日江戸人

 先週土曜日は、姪の結婚式が大阪であったので、連れ合いと参加した。こじんまりとした、心のこもった結婚式であった。義弟は、娘が遠くで生活するので少しばかりさびしそうではあった。

一日江戸人 (新潮文庫)

一日江戸人 (新潮文庫)

 きよのさんが旅した江戸は、どんな様子だったのか読んでみた。結婚の項では、下記のとおりの記述があった。もちろん、姪は該当しないが。
 「親は貧乏しても、娘は良いものを着て遊び回っている。嫁に行けば行ったで、亭主の稼ぎが少ないと文句タラタラ。買い物頼むわよなんて、亭主をこき使うことばかり達者で、なにかというと、自分が浮気しないことを恩に着せて、いばり返っている。ああ、なんて世の中だ。」と、ため息をつくおっさんがいます。どこも同じだなぁと共感する方もあると思いますが、じつはこれ、二百年前の江戸人の嘆きなんです。
 「彩色江戸物売図絵」でも、いろんな行商人が描かれていたが、ここでも、「茶飯」「そば」「天ぷら」「水売り」「粟餅」「かりん糖」「すし」などの行商が紹介されている。今の時代もコンビニなどは24時間営業しているが、江戸の後期のひとはずいぶんと宵っ張りであったようだ。
 八百長問題で相撲界も騒がしいが、ビックリすることはない。「国技」なんぞと見栄を張るからいけないのだ。江戸時代も八百長はされていたのだから心配ない。プロレスと同じように、ショーとして見ていれば腹が立たない。文部科学省も支援をやめればよいのではないか。江戸時代、「相撲は歌舞伎・遊郭と並んで三大娯楽だった。」と著者の杉浦日名子は書いている。
 「江戸っ子度・18のチェック」を掲載しているので、紹介する。
①衝動買いをすることがよくある。
②見栄っ張りだ。借金しても、人におごったことがある。
③早口だ。よく聞き返される。
④何でも勝手に略語にしてしまう。
⑤気が短い。推理小説は、いつも初めに結末のページをみてしまう。
⑥定食より丼飯のほうが好き。
⑦意外と潔癖だ。濡れたお箸を気味悪がる。
⑧下着は白、必ず毎日取り換える。
⑨行きつけの床屋がある。
⑩おしゃれに無頓着のように見えるが、本人なりのこだわりがある。
⑪履物にお金をかけるほうだ。
⑫間食が好き。
⑬入浴時間は15分以内、摂氏45度以上の熱い湯に毎日入る。
⑭アガリ性だ。緊張すると、言動が怒っているように見える。
⑮異性交際がヘタ。いったんくっつくと、泥沼になりやすい。
⑯駄洒落が好き。人に嫌がられるほど駄洒落を連発する。
⑰ウソを本気で聞いて、後で笑われることがよくある。
⑱涙もろいほうだ。

 以上の評定は、18項目パーフェクトなら、オメデトウ金箔付きの江戸っ子。15以上は、江戸っ子の末裔の東京ッ子を名乗る資格あり。10以上は並の東京人。ヒトケタ台は並の日本人です。とあった。
 東京生まれで、40年も阿波に住んでいる65歳の私は、5つしか該当しなかったので、並の日本人でも下の方か?
 この「一日江戸人」、絵と文章で構成されているので、江戸が理解しやすいのだろうか、中国語に翻訳・出版されている。定価25元であった。
 表紙裏には、こう本書が紹介されている。今のところは積読である。
 130幅生動有趣的手絵図、俏皮詼諧的文字、娓娓動人的逸聞趣事。帯你暢游 日本最具風情的時代、最具風情的城市:古代東京―江戸。為你細到入微地全面図解江戸風情、掲開日本式情趣的淵源。
 130枚の生き生きとした楽しい絵、粋でしゃれた文章、ずうっと人を感動させる言い伝えられた面白いこと。旅行に持って行って。日本で最も風情のある時代であり都市である、昔の東京、江戸。微に入り細に入り全面的に江戸の風情を図解し、日本情緒の淵源を表している。



上の写真は宮内フサ(1985年102歳で死去)作品 常磐御前 92歳


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
  ○いとし殿御の 目元のしほを 入れて持ちたや 鼻がみに
  ○花は折りたし 梢は高し 詠(なが)め暮らすや 木の下に
  ○情けないぞや 今朝立つ霧は かへる姿を見せもせん