きょうされん四国ブロック職員研修会

 先週の土曜日(8月20日)高松テルサで「きょうされん四国ブロック職員研修会」があったので参加した。本来は、日曜日にも研修会はあったのだが会議が二つも重なっていたので一日だけで失礼した。
 二回目になる今回の研修会、目的は「障害者自立支援法に変わる総合福祉法が検討され」ているなかで「改めて障害者問題の根本問題を学習する必要がある」とのことで開かれた。きょうされんの事業所はなかなか職員が定着せず、職員も障害者問題を学んできた人ばかりでなく、しかも若い職員が多くなってきているので、障害者問題の基本を学ぶことは大切になっている。私の場合は、職員でもなくボランティアで参加しているのだが、やはり初歩を抑えることは大事だと思う。
 講師は加藤直樹さん(立命館大学名誉教授・びわこ学園でも職員として働いてきた きょうされん滋賀支部長)で、「人間の発達保障論」を長年研究し実践もしてきた。「人間の発達保障論」は田中昌人さん(京都大学名誉教授、2005年11月18日逝去。享年73歳。 1963年創設された重症心身障害児施設・びわこ学園を舞台にした療育実践記録映画「夜明け前の子どもたち」の制作に携わった。1967年全国障害者問題研究会が結成され、その初代全国委員長として活躍した。)が提唱した。
 若いころ、教材関係の出版社に数年間勤務していたので、田中昌人の本は読んだ記憶があるが、内容は全く覚えていない。
 加藤さんはこの発達保障論は、「人間観・障害者観・発達観」に新しい提起を行い、この後「障害者も同じ人間だから、差別なく権利保障を」という運動が大きく前進したと話した。全国障害者問題研究会(略称:全障研)が現在のきょうされん運動の源になっている。
 また加藤さんは、「発達の三系」として「個人の発達・集団の発達(発展)・社会の発達(進歩)」をあげ、特にそのなかでも、「集団の発達」の重要性を指摘した。今の時代、新自由主義がはびこり、なんでもかんでも競争主義・成果主義・自己責任論が追求されているが、これでは社会的弱者は社会から排除され生存することができない。集団の発達があってこそ個の存在が保障され、社会発達があってこそ個の存在が保障されるが、そうはなっていない。
 この日のもう一人の講師は西澤心さん(きょうされん常任理事)で「きょうされん運動と障害者政策」と題して話がされた。西澤さんは3.11東日本大震災が起こってから、被災地の救済に力を尽くしている。地元の京都にいるのは毎月半月ばかりで、福島県で災害復旧に全力を尽くしている。被災地の状況を多くのスライドで紹介したが、こう語った。「東日本大震災地震津波原発被害は障害があろうとなかろうと人々に平等に襲いかかりました。しかし、震災後は平等でありませんでした。震災弱者といわれる障害者や高齢者の中には避難所にさえ入れない人たちや、障害があることで避難さえもできなかった人たちが数多くいました。救援物資が届かず、情報を得ることもできなかった人も多くいました。障害があることによって不平等に襲いかかる被害から半年が経過しようとしている今も続いています。」
 稀代の悪法である「障害者自立支援法」の見直しが進んでいるが、今後できる法律が障害者を人として認め、社会で安心して生活できる環境(住宅・雇用・賃金等)を作ることが求められている。
 昨日は、守大助さんを支援する徳島の会の役員会があった。広島で開かれた日本母親大会での、守さんを支援する活動の感想を出しあったり、これからの取り組みなどを話し合った。9月10日には兵庫県でも新たな会ができるという。再審請求が一日も早くなされ、全国の会が力を合わせて守さんの救出を実現したいと思う。



 上の写真は宮内フサ(1985年102歳で死去)作品の版画


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
  ○浮気鶯 梅をばじらし 態(わざ)と隣の 桃に啼く
  ○花も紅葉も 散りての後に 松の操が 能(よ)く知れる
  ○桔梗首振る 薄(すすき)は招く 秋の花野の 面白や