「蔵書の苦しみ」 岡崎武志

蔵書の苦しみ (光文社新書)

蔵書の苦しみ (光文社新書)

 本の帯には、
 ●蔵書は健全で賢明でなければならない
 ●多すぎる本は知的生産の妨げ
 ●本棚は書斎を堕落させる
 ●自分の血肉と化した500冊があればいい
 ●机のまわりに積んだ本こそ活きる  
とあるのだが、この真逆を行っているのが著者だろう。私なら探している本などは書棚から直ぐに見つかるが、著者はそうはいかない。挙句の果ては再度購入したり、図書館で借りる羽目に陥る。
 こうならないから、2万冊を超える蔵書の真ん中で苦しんでいる。ということで、とにかく楽しい本であるし、また読みたくなる楽しそうな本の紹介もしてくれている。

 井上ひさし 「本の運命」(文春文庫)
 草森紳一  「随筆 本が崩れる」(文春新書)
 荒俣 宏  「異都発掘 新東京物語」(集英社文庫
 紀田順一郎 「東京の下層社会」(ちくま学芸文庫
 谷沢永一  「完本 紙つぶて」(文春文庫)
 開高 健  「ALL MY TOMORRWS Ⅳ」(角川文庫)
 山本善行  「関西赤貧古本道」(新潮新書
 長山靖生  『おたくの本懐「集める」ことの叡智と冒険』(ちくま文庫
 小田光雄  「図書館逍遥」(編書房)
 
 まだまだいろんな本が紹介されているのだが、未読の本が我が家にはたくさんあるので、購入は控えようと思う。
 本を処分する要諦は「えいやっ!」だと著者は語っているが、それはそうだろう。床が抜けたり、家が傾くとどの蔵書であればそれもいたしかたない。「岡崎武志一人古本市」の部分は、本を処分するにあたっての並々ならぬ苦労と、彼の人脈が顕われていていて読んでいて楽しくなる。
 「一番好奇心の強い青春期に、本の魅力に取り憑かれると、あとは一瀉千里だ。水が高きから低きへ流れるように、必然的に本は増えていくのだ。」と著者は書いている。




我が家の絵馬 広島・尾道  大本山浄土寺



どどいつ入門(中道風迅洞 1986年 徳間書店
○宮の宿から雨降る渡り 濡れて行くぞえ名古屋まで
○神戸(ごうど)伝馬に二タ瀬がござる 思い切る瀬と切らぬ瀬と
○たんと売れても 売れない日でも 同じ機嫌の 風ぐるま