「沖縄苗字のヒミツ」 武智方𥶡

 沖縄の地方出版社の「ボーダインク」は地元に密着した、いい本をたくさん出してくれている。
 http://borderink.shop-pro.jp/
 会社の紹介には、「1990年に沖縄県那覇市に誕生した出版社。以来、沖縄に関することなら、 ぬーやてぃんしむさ(Everything is OK!)とばかりに、幅広く出版を続けてきました。
「ボーダー」とは、「境界線」という意味もありますが、「どっちつかず」というニュアンスも含まれます。常に境界線ギリギリの発想で、新しい沖縄の本作りにこだわっていきたいと思います。 エッセイ、コラム集、歴史、民俗、教育、政治、コミック、ラジオの本など、かたい本からやわらかい本まで、これまでにおよそ250点の本を出版しています。 (2007年7月現在)」
 とあった。今までに300点ほど出版しているのだから立派なものである。
 私が今までに購入して読んだのは下記の本。どれにも満足している。
 ○島唄レコード百花繚乱  小浜司
 ○沖縄人はどこから来たか  安里進・土肥直美
 ○琉歌百景  上原 直彦
 ○名護親方・程順則<琉球いろは歌>  安田 和男

 苗字を聞くと、この人はどこの出身と解る場合があるが、その両横綱は北海道と沖縄だろう。私が関わっているB型肝炎訴訟でも、原告の名前でこの人は沖縄という人も何人もいる。
 本の帯には、「なぜ〈金城〉はキンジョウと読むのか。琉球の人は、和名、唐名、童名、三つももっていた?〈大和めきたる〉苗字は強制されたものではなかった?!〈キンジョウ〉は戦後大発生した?!ユニークネスな沖縄の苗字の謎にマジメに迫る。」とあった。

 つい最近の江戸時代では、農民・庶民は苗字を持っていなかった。明治政府ができて、近代国家(?)として国民を管理・支配するために、苗字を持たされた人々がほとんどではないだろうか。
 「苗字由来Net」というので調べてみると、私の苗字の「有川」は1,464位で全国に約11,800人いるようである。両親の出身県である鹿児島では115位、有川という地名もある長崎では407位であった。

 因みに、全国と沖縄の苗字のランキングも苗字由来Netの資料で紹介する。

全国
1位 佐藤 およそ2,055,000人
2位 鈴木 およそ1,799,000人
3位 高橋 およそ1,495,000人
4位 田中 およそ1,377,000人
5位 伊藤 およそ1,139,000人
6位 渡辺 およそ1,123,000人
7位 山本 およそ1,121,000人
8位 中村 およそ1,094,000人
9位 小林 およそ1,075,000人
10位 加藤 およそ898,000人

沖縄
1位 比嘉 およそ46,000人
2位 金城 およそ46,000人
3位 大城 およそ43,000人
4位 宮城 およそ34,000人
5位 新垣 およそ27,000人
6位 玉城 およそ26,000人
7位 上原 およそ25,000人
8位 島袋 およそ22,000人
9位 平良 およそ20,000人
10位 山城 およそ17,000人

 全国と沖縄では全く重なるところがない。沖縄の苗字の変遷も、沖縄から多くの人が東京や京阪神に出て行った時の不便さから沖縄読みからの改名を、余儀なくされた人が多いようだ。学校教育も改姓に大きな役割を果たした。沖縄がたどってきた歴史の一端がうかがわれる、苗字改姓の歴史である。

 著者は、明治・大正時代の「読み替え」の特徴を示している。
 ○小橋川 クワシチャ→コバシガワ
 ○金城  カナグスク→カナシロ
 ○比屋根 ヒヤゴン→ヒヤネ



我が家のだるま  米子だるま  18cm


どどいつ入門(中道風迅洞 1986年 徳間書店
○私は水素でただ昇りつめ 主は風船うわのそら
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○開化する程恋には便利 遠けりや蒸気や電信機