柳水庵と厚労省「肝炎対策推進協議会」出席

 16日(日)はW石リーダーと連れ合いとの3人で、四国11番札所藤井寺から12番札所焼山寺の中間点の柳水庵まで往復してきた。久しぶりの歩きなので、往復14キロの山道は疲れた。途中、何人ものお遍路さんに会ったがそのほかに藤井寺から焼山寺までを往復して走っている人たちに出会った。体つきも走り方も全く様になっている。

 17日(月)は厚労省の「第11回肝炎対策推進業議会」があったので出席した。その前にB型肝炎訴訟原告団弁護団、日肝協、薬害肝炎訴訟原告団弁護団の打ち合わせがあった。
 協議会は傍聴者で満員であった。会場が前回よりも小さく、希望者がもっと多く協議の内容が聞かれるようにして欲しい。
 NHKなど多くの報道機関が取材に来た。NHKの報道については、下記を見てください。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140317/k10013041171000.html

 今回の協議会の議題は①平成26年度肝炎対策予算案等について、②委員からの報告、③その他
 最初に事務局から、来年度の肝炎対策関連の予算案について、各自治体における肝炎対策の取り組み状況について、C型慢性肝炎に対する3剤併用療法の有効性・安全性について 説明があった。
 その後、①大規模データからみた感染を知らないままでいる肝炎ウイルスキャリアとその動向について(田中純子委員) ②病態別の患者の実態把握のための調査および肝炎患者の病態に即した相談に対応できる相談員育成のための研修プログラム策定に関する研究(八橋弘参考人) ③職域における慢性ウイルス性肝炎患者の実態調査とそれに基づく望ましい配慮の在り方に関する研究(渡辺哲参考人) の3つの報告があった。どれも今後の肝炎患者に対する支援を考える上で、大事な研究であったと思う。
 特に、八橋先生の研究は、患者のおかれている病状・生活などを調べたものであった。患者支援をどう具体的にしていくか、これからプログラムが作られると思う。
 しかし、この研究が私たちにとって大事なのは、昨年の厚労大臣とB型肝炎訴訟原告団弁護団との協議で回答された「医療費助成制度を検討するに当たっては、対象とする患者の実態を把握することが重要であり、平成23年度から開始している患者の実態に関する研究の成果(八橋研究をさしている)や、他の疾患の患者の状況を踏まえて検討する必要がある。」を基に、どう医療費助成を現実化するかにある。
 残念ながら、来年度の予算案はこの私たちの願いをほとんど反映していない。協議会では4人の患者委員が医療費助成・身体障害者認定基準の緩和について意見を述べた。
 私は、以下のように意見を述べた。

 有川です。
 来年度の肝炎対策予算案と、私たち患者委員が出している、「ウイルス性肝硬変・肝がんに係る医療費助成制度の創設に関して、少し発言したいと思います。
 私は、徳島で「徳島肝炎の会」というのを30数年前に立ち上げて、ここにおられる熊田先生にも20数年前に医療講演会で、講師をお願いしたことがあります。
 徳島では毎年「肝がん撲滅の市民公開講座」開かれ、患者の立場からも発言の時間をいただいています。私どもの古い会員さんが、2年半ほど前に「肝がん治療を体験して」と題して、話をされました。彼は、典型的なB型肝炎の垂直感染の方で、母親が肝硬変で71歳、叔父も肝硬変で、長兄は肝がんで亡くなりました。姉も75歳で慢性肝炎の治療中、次兄も69歳で肝硬変の治療中です。
 本人は1971年に献血をしたときに、B型慢性肝炎とわかりました。それ以来ずっと治療を続けてきましたが、2009年11月にCT検査で肝がんが見つかり、その年の12月に徳島大学で手術を行いました。20日間入院して、退院3日後に職場復帰しました。
 彼には、重い障害を持つ一人息子さんがいます。今は32歳です。息子さんは全寮制の徳島県立ひのみね支援学校というところに入っていました。ところが18歳になって卒業したので出てゆかなければなりません。家に引き取って一緒に生活をすることになったのですが、奥さんを早くに亡くし、どうしようかと考えた末、建設関係の会社の設計の仕事を辞めて、障害者のための共同作業所を立ち上げました。収入は大幅に少なくなりましたが、子供と暮らすにはこれしかなかったわけです。
 自らの肝炎の病気と闘い重度の障害のある子供を育ててゆくことは、並大抵のことではありません。
 彼は市民公開講座のなかで、3つの願いを話しました。
 ①障害のある一人息子のために一日でも長生きすること。
 ②肝炎対策基本法を具体化して患者が救済されること。
 ③30年間こよなく愛した「三嶺(みうね)」のいただきに再び立つこと。
 八橋先生の研究でもお分かりの通り、肝硬変・肝がんの患者は治療費が多くかかるだけでなく、収入も低いのが実態です。そういった状況の中で、いまお話した親子は頑張って生活しています。
 障害者に関わって言いますと、障害者権利条約を1月20日に、日本は大変遅いですが141番目の条約締結国になりました。私は、日本の障害者の国内法整備はたいへん遅れていると思います。障害者権利条約には「他の者との平等を基礎として」という言葉が30ヶ所出てくるそうです。
 肝硬変・肝がんの患者にとっては、この「他の者との平等を基礎として」というのが、「ウイルス性肝硬変・肝がんに係る医療費助成制度の創設」にあたると考えます。他のものと、同じように生きてゆくには、こういう制度が不可欠です。
 彼の一日でも長生きするという願いは、医療費助成制度の創設がなければ実現できません。また、肝炎対策基本法の具体化という願いは、基本法にある「肝炎患者に係る経済的な負担を軽減するために必要な施策を講ずる」、「肝炎患者の療養生活の質の維持向上のために必要な施策を講ずる」の実現であり、その道が「ウイルス性肝硬変・肝がんに係る医療費助成制度の創設」にこそあると私は考えます。
 講演最後の患者としての彼の思いは「なおりたい なおしたい ただそれだけ」。
 来年度の予算案は、昨年8月に肝炎対策推進協議会が出した「平成26年度予算要求に係る肝炎対策推進協議会意見書」の医療費助成の要求「肝硬変・肝がんを含むすべての肝炎医療に係る医療費助成制度を創設するとともに、B型肝炎核酸アナログ製剤治療に係る自己負担限度額を(の の間違いか)引き下げや治療開始前の検査費用の助成を検討すること。」がほとんど反映されておらず、今後予算案を変えていただきたい。
 肝炎に対する助成は「他の疾病との公平性の観点から難しい」(昨年度大臣協議での厚労省回答)というが、肝炎患者は大変な状況に置かれている。
 平成23年度の患者調査によると、肝炎患者数は肝がんも含め32.8万人ほどおり、死亡者は肝がんを含め4.8万人いる。それに対し、糖尿病患者は270万人で死亡者は1.5万人、高血圧患者は906万人で死亡者は7千人。肝炎患者は限りなく死に近い病気である。公平というなら死亡率も他の病気ぐらいにしないといけないのではないか。
 ぜひ、今日ご参加の委員におかれても、この趣旨をご理解の上、制度の創設にお力をお貸しいただければと考えます。



我が家のだるま  姫路張子 1985年11月3日購入  11cm


どどいつ入門(中道風迅洞 1986年 徳間書店
○文(ふみ)はやれども返辞は来ない なぜに因循姑息(いんじゅんこそく)する
○そなた故には義理をも缺(か)いて内憂外患せまり来る
○転寝(うたたね)の顔に見とれて唯恍惚(うっとり)と どうすりゃこんあに好男子