きのこハウス理事会と「江戸川柳おもしろ偉人伝100」

 4月5日のブログで「男と女の江戸川柳」を紹介したが、著者は同じで出版はこれが先である。偉人伝とは言っても、架空の人物までいるし現代の基準から考えると「はてな」と思う人物もいる。読者の気を引くための題名のつけ方なのだろう。とにかく、登場人物の故事来歴などを知らなければ作れないし、理解できないので相当な知識が必要となってくる。またがる分野は神話・伝説・俗説や、講釈・芝居・謡曲など幅広い。著者によれば、川柳の題材別の分類では、「詠史句」「歴史句」に該当する。5月10日に東京へ会議に行った際、往復の飛行機の中で読んだ。
 日本の神様で最高とされる天照大神については、「わっさりと岩戸開けんと四方の神」「天の戸をうすめにひらく賑やかさ」などが紹介されている。ところでこの「うすめ」は天鈿女命(あめのうずめのみこと)の「鈿女」(うずめ)を利かせているというのだから、私のようなボンクラには解らない。
 清少納言では、「雪の謎とけぬ官女は鼻を明き」が紹介されていた。これは清少納言の「枕草子」にある「香炉峰の雪」の話を詠んだもの。高校のとき古文で習った枕草子では白楽天の「白氏文集」に出てくる「遺愛寺の鐘は枕を欹(そばだ)てて聴き、香炉峰の雪は簾を撥(かかげ)て看る」にちなんでいる。これが理解できない官女はあっけに取られてしまうのである。

 百人一首」を材料にした句(文句取り)も紹介されていた。
○白妙の雪に高ねの鰒(ふぐ)も売れ
 田子の浦にうち出てみれば白妙の ふじのたかねに雪はふりつつ(山部赤人
○吉原は紅葉踏み分け行く所
 おくやまに紅葉踏分なく鹿の 声きくときぞあきは悲しき(猿丸太夫
○家屋敷傾くまでの月を見る
 やすらはでねなまし物をさよ更けて かたぶくまでの月を見しかな(赤染衛門

 松尾芭蕉も出てこなければ話にならない。
 「膝や手をはたいて翁一句詠み」
 「いざさらば雪見に転ぶところまで」が材料だが、「歩きにくい雪道を、転ぶまで頑張って歩いて、転んだところで膝や手についた雪をはたいて詠んだだろう」と江戸の川柳作家は考えているのである。


 昨日は、きのこハウスの理事会があったので参加した。(http://kinokohouse.org/)5月25日に法人の総会があるのでその議案討議のためである。きのこハウスはこの2〜3年で大きく発展してきている。利用者・職員・理事長たちの努力が、総括や会計報告にも表されている。障碍者のために頑張っている作業所が、今後も発展できて利用者が安心して暮らせる社会に阿部総理はしてほしいものだ。



我が家ののごみ人形


どどいつ入門(中道風迅洞 1986年 徳間書店
○ぬしと権限さだめたからは 各気(うわき)させぬはわしの義務
○男女同権女房じやとても 自(き)ままにたたいちやすまぬだろ
○主の顔見にや春さへ浮かぬ 独り門をば注連(しめ)の内