憲法記念日、「死の棘」島尾敏雄

 5月3日は憲法記念日。連れ合いと徳島市九条の会徳島と徳島弁護士九条の会共同主催の「5.3憲法記念講演会ウイズYOU」に参加した。主催者代表あいさつは大西聡弁護士で徳島弁護士九条の会の事務局長をしており、九条の会徳島の呼びかけ人でもある。参議院選挙に向けて、徳島県下だけでなく合区となった高知にも度々行って、憲法9条を守れと訴えているので、顔が日に日に焼けてきてたくましさを感じるようになってきた。

 講演の講師は澤野義一さん(大阪経済法科大学の教授)で、「憲法9条の会関西」の代表世話人なども務めている。演題は「安倍政権の目指す憲法破壊の行方―『緊急事態条項』導入論のねらいと問題点―」であった。
 「緊急事態条項」とは、「戦争・内乱・恐慌ないし大規模な自然災害など、平時の統治機構をもってしては対処できない非常事態において、国家権力が、国家の存立を維持するために、立憲的な憲法秩序(人権保障と権力分立)を一時停止して、非常措置をとる権限」で、講師は、安倍首相のその導入の真の狙いは「憲法9条改正(改悪)をほのめかしつつも迂回し、9条の実質的改憲(先取り)と『安保関連法』を正当化すること」であると指摘した。東日本大震災や熊本大地震のような大規模災害対処のためには「緊急事態条項」の導入が必要と安倍首相は唱えるが、講師は憲法改正しなくても、現行の法律で対処可能」だと指摘した。問題なのは現行法制でやれるのに判断の遅れなどで、きちんと対処できていないところに大きな問題があると私には考えられる。講師は、東日本大震災憲法的な緊急権があれば対処できたという考えには、異議を唱えている。例えば、原発安全神話こそが問題で、国も電力会社も平時からの対処を軽視している。福島の状況を見れば今でも住民の人権保障措置は全く不十分で、原発災害については緊急事態宣言で対処できる問題ではなく、原発稼働停止・脱原発こそが課題だと指摘した。緊急事態宣言をすれば何もかも解決するといようなものではなく、特に安倍政権のような憲法・法律無視の政権にあっては、運用次第では乱用の恐れがあり、国民にとっては危険極まりないものと感じさせられた。
 参加者数は、投書の予想を上回る300人で、憲法9条を守りたいという熱意が感じられた。講演後には小雨の中、パレードを行った。

死の棘 (新潮文庫)

死の棘 (新潮文庫)

 島尾敏雄の本で今まで読んだものは「その夏の今は・夢の中での日常」「名瀬だより」「われ深きふちより」「琉球弧の視点から」で有名な奄美大島を舞台とした戦記物は読んでいない。とにかく、重い本である。ページ数(610ページ)もさることながら、内容が狂気の虜となった妻と二人の子どもとの日常生活を描いているのだが、よくこの世界から生還できたと思う。それ以上感想を書けない。

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 湯浅竹山人編「粹の懐」昭和2年(1927年)12月発行
◯たとへ岩きる早瀬の水も、あとへ引ナイ登り鮎
◯戀の山路に分入ながら、花も手折ずかへる野夫(やぼ)
◯鳥渡(ちょっと)うわ気でむりから突て、じきにとまつてこまる羽根
◯今朝のわかれになごりをおしみ、ないてわかるるはつ烏
◯ぬしの合酌こころにこめて、ちらぬほどつぐ花見酒
 もう、90年も前の本なのでページをめくる度に形が崩れてくる。