戦時広告図鑑

戦時広告図鑑―慰問袋の中身はナニ?

戦時広告図鑑―慰問袋の中身はナニ?

 はじめにで著者の町田忍は、本書のテーマをこう紹介している。「本書は、戦争中の各種商品の広告記事を収集し分類したものであり、戦争という重く大きな社会背景が、どのように広告に影響を与えているかをテーマとしている」
 約500枚の広告がどれだけ国威発揚軍国主義の推進に貢献したかが、見られるのである。そういえば、今回の福田総理の辞任発言を受けて、自民党が総選挙対策のための、総裁選挙を演出しているが、NHKは自民党のために大々的な選挙の事前運動のお先棒を担いでいる。公共放送の使命を投げ捨て、私的放送機関になってしまっている。これで、受信料を支払えというのだから、噴飯モノである。
 昭和12年10月の読売新聞に掲載された「森永キャラメル」の広告のうたい文句は以下の通りである。「空爆にキャラメル持って  わが荒鷲部隊は、爆撃に行く時に、必ずキャラメルを持って行く。機上では一番の、楽しい御馳走だ。慰問袋に感謝する。」
 「正露丸」は戦前まで「征露丸」と言っていた。日露戦争と関係がある。明治39年11月の「薬業新聞」の「セイロ発売広告」にはこう記述されている。「日露戦争に當り我政府が四拾餘萬圓の巨費を投じ陸軍軍医総監閣下及陸軍軍医監閣下の創製にかかり三十六名の軍医薬剤官により合議製剤し外征将卒に各自携帯せしめたる」 ロシアを成敗するには、兵隊が健康でなければならないわけである。

 町田忍のホームページには、以下の通りの自己紹介がある。
「銭湯・納豆ラベル・マッチラベル征露丸等々日本に存在する
あらゆるラベル・包装紙・化粧箱等を収集する博物学者です。」