江戸娯楽誌

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 本書は1983年に作品社から刊行されたものを文庫化したものである。江戸の人々がどのような娯楽を楽しんでいたか、その時代の小咄・川柳をいれながら紹介している。見世物・大道芸・日常の遊び・四季の好楽・信仰をめぐる楽しみの分野に分けている。
 一番最初の「軽業」の項については以下のとおりである。
 「さる人、友達に出あひ、『さてさて、今日は面白ひ軽業を見て来たが、竹の上を、下駄をはいて居合を抜く、手鞠を使ふ。イヤモ、けしからぬ事をする』と話さるれば、『何の、それが珍しい事がある』と言われける。『そんなら、あのようなこと、してみや』と言ふ。『そのようなことをせいでか、俺は、ささの上で喧嘩さへする』と言ふた。」(宝暦11年刊 『絵本御代春』)

 竹の上で軽業をする者がいるなら、自分はささ(笹と酒とをかけたしゃれ)の上で喧嘩をするとは、対抗意識もすさまじい。と説明している。
 興津要の本では、今からもう30数年前に講談社文庫から「古典落語」「古典落語続」「古典落語続々」「古典落語続続々」「古典落語大尾」「江戸小咄」が出版されていて読んだが、楽しいものであった。残念ながら古典落語のシリーズは人に貸して戻ってきていないので、手許にない。