きょうされん

 「きょうされん」といっても、何のことかわからない人が大多数だろう。この団体の旧称は、「共同作業所全国連絡会」であったが、字数が少なくなって呼びやすくなったが、団体の性格がわかりにくくなってしまった。世間から広く認知を受けるにはもっと時間が必要だろう。
 きょうされんとはどういう団体なのか、ホームページから紹介する。
 きょうされんは、1977年に障害のある人たちのニーズをもとに、16ヵ所の共同作業所によって結成されました。現在は、1800ヵ所を越す会員となり、小規模作業所をはじめ授産施設グループホーム、生活施設、生活支援センターなど大きく広がっています。
 小規模作業所は、毎年およそ300ヵ所増えつづけ、全国で6000ヵ所(2004年度現在)になっています。その一方で、生活の場を含めた社会資源の絶対数の不足は、障害のある人たちの地域生活へのねがいや自立をはばんでいます。
 当会は、政策提言や関係団体と連携しながら要望活動を繰り返し、授産施設の分場制度や相互利用 制度、社会福祉法人の要件緩和や小規模通所授産施設制度の創設などの実現へ努力してきました。
 障害のある人たちの暮らしに必要な制度・施策を充実していくためには、小規模作業所をはじめとする関係者が手をつなぎ大きな流れをつくっていくことが求められています。
 障害のある人たちの豊かな地域生活の実現に向けて、ぜひきょうされんの活動にご参加いただきますよう、心より呼びかけます。
 また、きょうされんは下記のことを目指している。
 「きょうされん」は、その前身を共同作業所全国連絡会(略称・共作連)として1977年8月7日に結成されました。結成の目的は、国に対する全国規模での要求運動を展開していくことであり、各地の共同作業所づくり運動の経験を深め合うことにありました。無認可の共同作業所による連絡会組織としての出発でしたが、現在では働く場に加えて活動の場や生活の場、生活支援センターなど、成人期障害者の地域生活を支えていくための多様な社会資源による事業体組織として、また、運動体として新たな発展を遂げつつあります。
 わたしたちの地域を舞台とした労働と生活の営みは成人期障害者の発達と健康の保障を現実のものとし、また絶え間ない要求運動は、関連する法制度の拡充においてもかけがえのない成果を築いてきました。しかし、一人ひとりが働くことの喜びと生活のゆたかさを真に実感し、ノーマライゼーション社会の実現という視点からするならば、わたしたちの実践とそれを支える条件はまだまだ不完全な状況にあります。
 わたしたちは、あらゆる障害に対して、また障害の重い人びとを絶えず念頭におき、共作連結成時の志を礎として、次の諸点を不断にめざし実践、経営、運動を発展させていきます。

1、わたしたちは、障害のある人びとが労働を通じて社会に参加し、また、地域でのゆたかな暮らしを築く権利の保障をめざします。

2、わたしたちは、障害のある人びとと関係者一人ひとりが大切にされる事業体として民主的な経営をめざします。

3、わたしたちは、地域における共同の事業や運動をすすめ、障害のある人びとが生きがいと誇りをもてる社会をめざします。

4、わたしたちは、障害のある人びとの夢ある明日をめざし、科学と創造の視点を大切にしながら団結して前進します。

 昨年の8月から、徳島の事務局の仕事を少しばかり手伝っている。しかし、門外漢なのでわからない事ばかり。手伝いと言っても、月一回の運営会議への参加、諸集会への参加、機関紙(年4回発行)の手伝いぐらいではあるが。
 少しでも、きょうされんの事を知るために「共同作業所のこころと実践」を読んだ。

 著者の立岡晄(あきら)はこの運動にかかわって33年になり、2000年5月から2006年5月まできょうされんの理事長を務めていた。きょうされん活動の理論的支柱でもあった。本書では著者の長い経験の中で学んだ事、大事にしてきた事が書かれている。「自立」について、「自立とは、単に身辺のことが自分でできるということだけではなく、たとえ身の回りのことができなくても、肝心な場面で『イヤ!』『ウン!』と言う、ただそれだけの意思表示をする力が大切なのです。」と語っているが、厚労省のいう「自立」がいかに障害者たちの求めるものと違うかがはっきり解るのである。
 また、きょうされん第24回全国大会で示された主な課題を、3つに分けて紹介している。
①障害者の所得保障
②扶養義務の社会化
精神障害者社会的入院の解消
 今の障害者自立支援法でことごとく否定されているもので、障害者の置かれている厳しい環境が理解される。
 さらに、運動が逆境に置かれたときの態度として、3つ指摘している。
①原点にもどる。徹底して福祉の原点、思想に学ぶこと。
②どこまでも仲間たちの願いや夢を語る。
③地域に打って出ること。
 大変分かりやすく書かれていているが、著者が永年障害者運動にかかわって、障害者にも理解される言葉を使ってきたからこその文章である。
 今、きょうされんでは映画「ふるさとを下さい」(ジェームス三木脚本)の自主上映運動を全国で行っている。障害者の施設建設作りと、地域の理解を得る取組みがかかれ、その仲でも恋が芽生えていく映画である。是非、機会があったら観て欲しい。