竹内実
- 作者: 竹内実
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/02/20
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
竹内実は1923年に中国の山東省で生まれ、幼少期を中国で過ごしている。学徒出陣も経験し、1949年に京都大学文学部中国文学科を卒業している。最初に彼の文章を読んだのは、「近代中国の思想と文学」(東京大学文学部中国文学研究室編 大安が出版 1967年7月)の中の一文「毛沢東 その『自覚的能動性』について」であった。この本は、今では大家となった当時の若手中国研究者が多く文章をのせている。600ページを越えるこの本は読みでがあり、啓発された。次に読んだのが「日本人にとっての中国像」(春秋社 1966年10月)。これは、岩波書店の同時代ライブラリーで復刊されている。
- 作者: 竹内実
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1992/08/20
- メディア: 新書
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
「終章」で竹内は中国はどこに行くかについて「歓楽に向う」と書いている。「ただし、個人ではなく、ひとびとが、ともどもに享受する歓楽である。」
歓楽の中身について、孔子の「論語」の一文を出して説明している。
「子、曰(のたまわ)く、学んで時に習う。また説(たのし)からずや。朋(とも)ありて、遠方より来る。また楽しからずや。人知らずとも慍(いきど)おらず。また君子ならずや。(論語 学而 中略)
孔子先生がいわれた。塾で学んだことを春夏秋冬、季節ごとにおさらいする。これ以上のたのしみはないのではないか。遠方にいる友人が訪ねて来る。これ以上のうれしいことはないのではないか。他人(ひと)に伝えても伝えきれない。それでも立腹しないのは君子と言うべきでないか。
ここで、勉学にはげみ、おさらいをするのが学術・文化の基礎だとか、友人との再会が人生の目的だとか、孔子がいっていないのに注目したい。ずばり、『たのしみ』だ。『うれしいこと』だといっている。つまり『歓楽』の一つなのである。」