アラスカ物語

 川上澄生全集の第10巻を古書店モウラで購入したので、読んだ。第10巻の内容は、単品・横濱・街頭人物図繪・後姿と前姿・アラスカ物語・履歴書で、嬉しい版画がたくさんある。以前、「明治少年懐古」を紹介したが、川上の版画はほのぼのとして人をひきつけるものがある。前の所有者が大事にしていたのであろうか。本の帯と全集の月報が、本の間に挟まれていた。月報で、文芸評論家の巌谷大四がこう書いていた。 
 「井伏鱒二氏の『侘助』を単行本で出すことになった。その時、ふっと頭に浮かんだのが、川上澄生の『ゑげれすいろは』であった。川上さんに装幀をお願いしてみようと思った。 中略 白い表紙の中央に、藍色のまる型の中に藍とだいだい色をあしらった素朴な図柄だったように思う。とにかく井伏さんの作品にぴったりの装幀だった。井伏さんも喜んで下さった。」
 「アラスカ物語」は彼が若い頃アラスカに行って、鮭罐詰製造人夫として働いた数ヶ月間の有様を書いているのだが、アラスカの青と白の風景が見ていて楽しいのである。
 

 先日、庭に植えてあるフリージアの球根を何年かぶりに掘り起こしたらたくさん出てきたので、二人の娘の家にむらさき大根草の種と一緒に送った。来年はかわいい花をたくさん咲かしてくれるだろう。それでもまだ残っているので、どうしようかと思案中である。