現職警察官「裏金」内部告発

現職警官「裏金」内部告発

現職警官「裏金」内部告発

 守大助さんを支援する徳島の会の役員が、貸してくれたので読むことにした。冤罪を作り出す温床に、警察の腐敗体質があることがよくわかったのだが、捜査などを間違って冤罪が作られるだけではなく、警察が成績アップのために事件をデッチあげるのだから空恐ろしい。
 警察に関する本を読んだのは、もう40年も前。我が家にあったのは、「警察黒書」(労働旬報社 1969年9月 B5版 414pもある)と「戦後日本の警察」(岩波新書 1968年7月)。それに本書でも紹介されている「わが罪はつねにわが前にあり」。これは1984年にオリジン出版から出版され松橋忠光と言う人が書いている。警察内部の不正を暴いたものである。警視監というエリート警察官僚の告発だったので、当時大きな反響を与えた。
わが罪はつねにわが前にあり―期待される新警察庁長官への手紙 (1984年)

わが罪はつねにわが前にあり―期待される新警察庁長官への手紙 (1984年)

 警察の階級は『現職警察官「裏金」内部告発』によれば「巡査」から始まり、「巡査部長」「警部補」「警部」「警視」「警視正」「警視長」「警視監」「警視総監」となっている。これより上は、警察庁長官だから警視監の地位がいかに高いかわかるだろう。
 全国の自治体・国の機関で「裏金」づくりが蔓延していることを、今では誰でも知っている。不思議なことに裏金を作っても軽い懲戒処分しか受けず、罪にも問われないのが実情である。罪に問うと、裏金の実態が職員から報告されないのだと言う。本末転倒である。
 30数年も前から、裏金作りに協力せず、昇進も含めて差別を受け、家族への脅しを受けても屈しなかった仙波元巡査部長の行為は見事とか言うほか言葉がない。
 守大助さんの父親も警察官であったが、自分の息子が「冤罪」であるから、いろんな圧力に屈せず仙波さん同様定年まで勤務した。裏金づくりに協力し、またその金を自分の懐に入れた人達が出世し、その後の社会でも大きな顔をして歩く社会はいただけない。
 金を一人二人の人がくすねると「犯罪」になるが、組織ぐるみでおこなうと、それを非難した人が大きな被害を受ける。殺人もそうである。ある人が人を殺すと犯罪になるが(勿論弁護するに値しないが)、何十万人もの人を殺す戦争を指導すると英雄になる。実に不思議な世の中である。