ことば遊び

ことば遊び (講談社学術文庫)

ことば遊び (講談社学術文庫)

 古代からいろいろな言葉遊びがあったものである。本書は1975年に中央公論社から刊行されたものの文庫化である。
 しりとり言葉・回文・早口言葉・しゃれ・なぞなど、たくさん紹介されている。こういう遊びは、生活・文化が向上しないと普及しない。したがって、最初は貴族の間でおこなわれていたのが、時代が下るにしたがって次第に武士・町人・農民の間でもおこなわれるようになってきた。
 中国の宋代の詩人蘇東坡(中国料理のとんぽうろうの語源となった詩人である)の回文の詩が紹介されていた。

 「江南本織錦図回文原作三首」
 春晩落花余碧草  夜涼低月半枯桐
 人随遠雁辺城暮  雨映疎簾繍閣空

 春晩の落花碧草を餘し 夜涼月低る半枯の桐
 人は遠雁に従う邊城の暮れ 雨は疎簾に映じて綉閣空し


 を倒置するとこうなる。

 空閣繍簾疎映雨  暮城辺雁遠随人
 桐枯半月低涼夜  草碧余花落晩春

 よく考える閑があったと思う。時間と教養がなければとてもこんな詩は作れない。
 本書の最後に書かれていたなぞを紹介しよう。
 ○白い皿に卵一つ (電灯)
 ○上では算術、下でぶらんこ (時計)
 ○親のしくじりお尻で直す (消しゴムつきの鉛筆)
 ○箱の中に千人坊主 (マッチ)
 ○口から食べておなかから出す (ポスト)