北京続き

 4日間の費用は1人5万円ほどであった。日本であってもなかなかこれほどで済ませられる旅行はない。どうやったら、これだけの費用で行けるのか不思議である。
 関空から北京までの飛行機代は片道約6万円、北京新世紀日航飯店の宿泊費は、1泊ツインで1人分の朝食つきで710元(10,650円くらい、朝食1人分追加すると138元)する。世界遺産5ヶ所の入場料は220元。マイクロバスには、運転手・添乗員・写真撮影専門の女性が加わって、4日間案内してくれる。一人旅で手配すると、通常価格では15万円以上はかかるのではないか。格安チケットを購入し、1泊300元ほどの宿に泊っても10万円はかかるのではないだろうか。自分の希望するところ、ゆっくり見て回りたいところを我慢すると行けるということか。昨日、連れて行かれるところの値段が高いと書いたが、足の弱い人がいて、車椅子を手配(押してくれる人がついている)したら、1日500元(7,500円)かかった。押してくれる人のバイト代は、どう考えても20元はしないだろうから、後は旅行会社などの利益になるのだろう。
 どこに行っても記念写真をとる。ひどかったのは万里の長城万里の長城のきれいな写真もセットしてあって1,500円だった。中国語・英語・日本語で説明がされていたが、日本語は誤訳だらけで、とても日本では売り物にならない。これも愛嬌か。例えば、万里の長城の夜景の写真の説明は、「会の中に長城は神龍のように夜で遊行して魅力がありまから中国と外国の観光客にもうつ景色を称賛されます。」とあった。「絵の中の長城は神龍が夜遊んでいるようで、とても魅力に富んでいて、内外の観光客が深く称賛する一景観です。」という意味なのだ。切手や紙幣のミスプリントは価値が上がるが、これはどうにもならない。
 写真撮影の女性の名は段宝華、22歳の若者であった。日本語を独学していて1年間というが、こちらの言うことは理解できるし、話し振りもまあまあであった。給料を聞くと1ヶ月1,000元であった。添乗員は、自己紹介で「チョー真面目な趙」と言っていた、33歳の男性(趙春旺)であった。
 北京の街も交通マナーは悪い。車優先だそうで、しょっちゅう「ブー・ブー」鳴らしながら走ってゆく。駐車違反で捕まると200元取られるといっていた。車を買って縁起のよいナンバープレートを購入する(8の数字並び)と、車と同じくらいの金がかかる。交通渋滞を緩和するため、月曜日は末尾の数字が1と6、火曜日は2と7、水曜日は3と8、木曜日は4と9、金曜日は5と0のナンバープレートの車は運転できないそうだ。そのため、地下鉄やバスなどの交通機関の乗車賃は2元程。それでも北京では毎日1,000台ずつ車が増えていると、趙さんは説明してくれた。金持ちでない人は、したがって自転車や電気自転車(自動車という)で通勤する。夜に買い物をしたスーパーでも、電動バイクを売っていた。値段は1,590元だった。
 訒小平が1979年に提唱した「一人っ子政策」は農村ではあまり厳格には行われていないようだが、当時500元だった罰金が、今では10万元になっていると、趙さんはいう。趙さんの奥さんは6人姉妹だそうで(まだまだ男子優先の社会なので、男の子を産むまで両親が頑張ったようだ)、一財産をつぶしたようだ。一人っ子政策を宣伝する、大きな看板も見られた。

 出発した17日の為替レートは、関空で見ると1元15.3円、20日関空に帰って見ると11.7円の円高になっていた。ううむ・・・