中国侵略の証言者たち

 先日、中国の小学校の新入生が中国語の発音をおぼえるための「ピンインカード」(併音卡)をようやく訳しおえて、中国語教室で一緒に勉強している人に配った。これは昨年、中国の湖南師範大学で日本語を勉強している女子大生がもってきてくれたもの)カードはトランプより少し大きめで、裏表で140pもある。発音を正確に覚えるための、簡単な文章がそえられている。決まりきった言い方があるので、案外私のような、中国語検定3級程度の能力しかないものにとってはむずかしい。
 単語の意味を調べ、そのうえ小学校3年生の子どももいるので、漢字には総ルビをふるので大変だった。カードの最後のほうの数ページは、子どもが興味を引くような、比較的長い文章もあった。結局、A4用紙に24pにもなってしまった。
 

中国侵略の証言者たち――「認罪」の記録を読む (岩波新書)

中国侵略の証言者たち――「認罪」の記録を読む (岩波新書)

 本のカバー裏に「日本軍は戦中、中国でどんな侵略行為を働いたか―(中略)中国により戦犯として起訴された45名の元日本軍兵士・「満州国」官僚らの供述書が、近年全文公開された。」として、満州国統治や侵略行為の実相を、彼らの証言を元に具体的に検証している。
 多くの日本軍兵士・満州国官僚らが、口を閉ざしたままあの世に言ってしまった中での発言は、「戦争」「侵略」を考える上で貴重なものである。
 私が、日本の中国侵略について読んだのは、もう40年近くも前になる。本書「中国侵略の証言者たち」でも何冊か紹介されているが、「三光」(光文社 初版1957年 神吉晴夫編)は初めての証言の書であった。その他、「中国の旅」(本多勝一 1972年 朝日新聞社)・「中国の日本軍」(本多勝一 1972年 創樹社)・「記録抗日戦」(三留理男 1972年 主婦と生活社)などであったが、今でもぼちぼち読んでいる。
 「三光」とは、中国の用語で「殺光・焼光・搶光をさし、それぞれ殺し尽くす・焼き尽くす・奪い尽くす」である。当時の日本軍の用語では「燼滅掃蕩作戦」「殲滅掃蕩作戦」「剔抉掃蕩作戦」「治安掃蕩作戦」「治安粛清作戦」などと呼称された。
 そして、『「燼滅掃蕩作戦」とは「燃えかすが残らないほど徹底的に滅ぼし、払い除く意味であり、「殲滅掃蕩作戦」とは「皆殺しにして滅ぼし除く意味』と本書では説明している。
 残念ながら日本では、こうした戦争体験が正確に伝えられていない。戦争犯罪が「戦争犯罪」として総括され、どうそれを阻止していくかの基本理念の確立が必要ではないか。