また、東京へ 江戸は面白い

 B型肝炎訴訟の和解交渉が、なかなか進まない。国のきちんとした謝罪と、B型肝炎ウイルスのキャリアに対する補償で、国がまだ患者・被害者の意見を取り上げないためだ。野党はほぼ私たちの主張を認めてくれているのだが、厚労省民主党(一部の議員を除き)の態度が後ろ向きだ。
 そこで、12月7日に札幌で和解交渉が開かれたのちに、8日・9日と東京で行動が緊急に提起されたので、私も参加することにした。次第に寒さが厳しくなってきているが、国の態度もこれでは困る。大阪原告団の人達も体調不良にもかかわらず頑張っている。患者・被害者の命を縮ませるような和解交渉の引き延ばしは、許すことができない。
 この間、江戸に関する本を読んだ。
 「江戸人と歩く東海道五十三次」と「江戸のことわざ遊び」

江戸人と歩く東海道五十三次 (新潮文庫)

江戸人と歩く東海道五十三次 (新潮文庫)

 江戸も中期以後になると、旅行もかなり自由にできるようになってきて、女性でも何カ月も旅をしたという。自由に旅ができるということは、当時の社会が安全だったということらしい。昔、教科書で習ったこととは大いに違う。東海道を歩く(約490km)のに、物見遊山をしなければ15日程度だったというから健脚である。毎朝宿屋を出るのも午前2時半ごろで、登山をする時よりも若干早い。安全に目的地に到着するには、登山でも早出が基本だ。無銭でも旅行できたというから、今の日本と違って、セイフティネットが出来ていた。
 エコについても書かれている。「遠景に見える水田で稲作をしている農家の人が、夜なべ仕事に草鞋を作ってここの茶店に売りに来て、旅人が捨てた草鞋を引き取って行き、自分の田畑の肥料にした。つまり、東海道を旅する人のはく草鞋は、旅人の足と茶店と街道に近い田畑の間を循環し続けていた。」
江戸のことわざ遊び 幕末のベストセラーで笑う (平凡社新書)

江戸のことわざ遊び 幕末のベストセラーで笑う (平凡社新書)

 この本は、「諺臍の宿替」に掲載されている300余りのことわざの中から200程度を取り上げている。幕末から明治初期まで出版続けられたというから、息が長い。
 そこから二つ紹介しよう。
 「酒、人を呑む」
 酒に呑まれる人:これだけの酒で酔うようなおれじゃないぜ。プウプウグイグイ。こら、だれじゃ。おれの頭を吸うのは。もうもう頭痛がして眼がチカチカするわい。ぐっと吸ってくれ。お前に吸われたら本望じゃ。水入らずの一筋じゃ。うまかろう。
 人を呑む酒:親方が高い米を買って、造ってくれたおれだ。憚りながら、剣菱のキュッとした男じゃ。お前らに呑まれてたまるものか。こりゃヒョロヒョロするな。足がこぼれると、もったいないわエ。
 「蝶よ花で育った子」
 あたしはこのように、お父さんやお母さんが大事にしてくれて、毎日、蝶よ花よと遊んでいる。これからだんだんと大きくなったら、お父さんのように、丁と半とで遊ぶのだ。