TPPは国を滅ぼす

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TPPは国を滅ぼす (宝島社新書)

TPPは国を滅ぼす (宝島社新書)

 徳島肝炎の会の事務局長が、TPP関係の本を読めと言って2冊貸してくれた。一冊だけ読むことにした。
 ウィキペディアによるとTPPとは「環太平洋戦略的経済連携協定TPP、Trans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、元々2006年5月にシンガポールブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国加盟で発効した経済連携協定。これらの国々が太平洋を囲む関係であった事からこの名が付けられ、環太平洋間での経済協定として始まった。加盟国間の経済制度、即ち、サービス、人の移動、基準認証などに於ける整合性を図り、貿易関税については例外品目を認めない形の関税撤廃をめざしている。環太平洋経済協定、環太平洋連携協定、環太平洋パートナーシップ協定とも呼ばれるが、小国同士の戦略的提携によりマーケットでのプレゼンスを上げる事が、TPPの発足時の目的である。」
 著者によると、TPPは、「日本の農業・農村だけの問題ではない。非関税障壁の撤廃によって、国民の食の安全にも重大な影響を与える。さらにサービス貿易の自由化で、医療や労働問題にも深刻な影響を与えるだけでなく、政府調達の自由化で、公共事業への外国企業の参入が進められ、中小企業にも重大な影響を与える。また、『毒素条項』の導入で、日本の主権そのものにもかかわる重大な問題も含まれる。」と指摘している。
 日本の農業は60年安保条約以降、米国の余剰作物の処理場となった日本の犠牲になり、壊滅的な打撃を受けてきているが、それを更に進めようとしているのがTPPである。全国のJAがこぞって反対するばかりでなく、地方自治体も地域経済が破壊され、地域が成り立たなくなってきてしまうとして反対してきている。菅首相は「平成の開国」をやるとして、TPPの推進に躍起となっているが、関税率などを含めすでに日本は世界有数の「開国」を成し遂げている。経団連もTPPには大いに賛成で、米国財界と二人三脚でFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏:Free Trade Area of Asia-Pacific:FTAAP)を実現し、その主導権を米国と分かち合い、アジア市場での支配権を確立しようと狙っている。しかし、ここで利益を得られるのは、自動車・電気産業など輸出に強い企業だけで、農業を含む多くの企業が手痛い目にあうことになる。
 医療分野では、もうかなり前からアメリカは病院経営を株式会社化にして参入させよと迫ってきている。TPPでは医療も対象外ではない。アメリカの医療産業は、株式会社化によって金のない人は医療保険にも入れず高い医療費に苦しまされて、無保険者は国民人口の15%にあたる約4600万人にも上っている。
 今、日本の医療制度は度重なる自公民政権の医療改悪で、保険料も高くなり保険給付も制限されるようになってきてはいるが、株式会社化が実現されればさらに医療にかかれなくなるひとが続出するだろう。
 本書では、日本共産党市田忠義議員の国会質問が紹介されている。「日本全体で見るとGDPはほとんど増えないのですよ。はっきりしていることは、これまでも巨大な利益を上げてきた一部の輸出大企業の利益のために、農業も漁業も林業もそれにつながる地域社会もめちゃくちゃにすると。私は、これを守るルールこそ今政治は考えるべきだと思うんです。」
 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手・宮城・福島などは、日本有数の農業県であるが、TPPはこれらの県の復興を阻害するものであると思う。
 みんなの党川田龍平議員の質問も紹介されている。「貧困大国アメリカの例を見ても分かるように、アメリカの医療は、行き過ぎた市場化により、医療サービスの質を低下させ、公的医療保険の範囲を狭め、その結果、医療格差をますます広げるという悲惨な実例がたくさん出ています。医療が商品になれば、利益と効率重視という市場化の性質が患者の負担を増大させ、経済力のない患者、医療費の高い難病患者が切り捨てられる可能性は避けられません。」
 TPPは輸出大企業にとっては利益をもたらすものだが、ほとんどの国民にとっては「百害あって利益なし」というのが、私の結論である。



上の写真は、宮内フサ(1985年102歳で死去)作品 宝船


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
  ●惚れた焦がれた 甲斐ない今宵 逢へばくだらぬ ことばかり
  ●思ふ程思ふまいかと 離れていれば 愚痴なことだが 腹が立つ
  ●朝の蚤とる 寝間着の姿 久米の仙人 死ぬだろう