とくしま難病支援ネットワークが県と話し合い

 昨日(28日)、6月28日付で飯泉知事にとくしま難病支援ネットワークから出していた「要望」について、県の天野泰輝(健康増進課 感染症・疾病対策室室長)・志摩信昭(感染症・疾病対策室係長)とネットワーク9名(粟飯原博子会長・近藤宏副会長・長尾美津子副会長・藤井美幸事務局長・山下洋子会計監査・下泉譲・東陽子・近藤力・有川哲雄ら各幹事)が県庁の会議室で話しあった。要望書の内容は下記の通り。
               平成23年6月28日
徳島県知事 
 飯泉 嘉門 殿
           とくしま難病支援ネットワーク
             会長 粟飯原 博子

    徳島県難病・長期慢性疾患対策についての要望

 平素より難病・長期慢性疾患患者へのご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
徳島県での難病・長期慢性疾患患者に対しての推進対策をますます進めていただけるように、下記の点を要望いたします。
           記
1、病気の早期発見のために、脊髄外科指導医の専門医師を県内に増やすよう働きかけていただきたい。
2、1型糖尿病患者に対して、災害時のために、猶予なくインスリンが提供されるように入手方法や提供先を具体的に明文化していただきたい。
3、レスパイト入院制度があるにもかかわらず、検査入院という方法に変えられてしまうため、県から病院関係機関にレスパイト入院を推進するよう働きかけていただきたい。
4、意思疎通の不自由な患者の緊急入院の場合は、コミュニケーション事業として、在宅で慣れたヘルパーの付き添いを、県下全域の市町村に認めていただけるよう働きかけていただきたい。
5、重症難病患者拠点病院、協力病院設備整備事業に非常用電源装置を難病患者に対して無償で貸与するする制度があるが、徳島県も予算立てをし推進していただきたい。(国の補助非常用発電機207,000円、無停電電源装置40,000円)
6、徳島県に、難病患者の医療、福祉、就労、生活全般の専任相談員を置いての「難病相談支援センター」を早期に設置していただきたい。
7、徳島県に、「難病患者慢性疾患患者」支援自動販売機設置に協力していただきたい。
8、厚生労働省が肝炎対策として示している「緊急肝炎検査事業」を再開し、医療機関委託による無料での肝炎ウイルス検査事業を実施していただきたい。その際に医療機関委託は、県内のすべての内科・外科系の医療機関で行われるように関係団体と協議を行うこと。
9、無料ウイルス検診と肝炎治療費助成事業の実施を広く県民に知らせ、受検・受療者を増やす啓発活動を積極的に行っていただきたい。
10、保健所・市町村保健センターにおける「肝臓病教室・講演会」を開催し、ウイルス肝炎についての正しい知識・最新の治療法・肝発がん予防、感染症に対する偏見差別の解消など、積極的な啓発活動を行っていただきたい。
                以上

 話し合いの中では、今回の東日本大震災をきっかけに明らかになった、難病患者の命の安全をどう守るかが話題になった。徳島Ⅰ型糖尿病の会では、緊急時にどうインスリンを確保するかが大きな問題になっている実情が話された。東日本大震災では、多くの医薬品がメーカーの工場の被災で製造中止による不足や、必要な医薬品が必要な患者に届かなかったりしたことが近藤副会長から話されたが、非常時にこそ自治体が県民の生命・財産を守る役割をきちんと果たしてもらいたいものだ。
 また、日本ALS協会徳島支部からは、介護している家族の困難を国が制度化したレスパイト入院の制度を広めて欲しいと話があった。人工呼吸器などを使っている患者にとっては地震などのときの停電に備えて、補助非常用発電機やバッテリー装置の配備について県にもっと力を入れて欲しいと要望した。徳島県脊柱靭帯骨化症友の会からは、きちんと診断できる専門医が徳島県には少なく、県としてその養成に力を入れて欲しいという要望があった。難病患者会の存在を知ってもらうことと財政支援の意味で、難病患者慢性疾患患者のための支援自動販売機の設置を県庁内にお願いしたが、これについても他府県で設置例があるのでぜひ実現してもらいたい。
 徳島肝炎の会からは昨年末に会として提出した要望と同じものを県に出した。肝炎ウイルス検査は現在、保健所(週1回 予約制)で行われているが、これでは患者の掘り起こしにはならない。検査は1度だけおこなえばよいもので、病気の早期発見は患者にとっても家族にとってもメリットがある。また医療費抑制にも貢献するもので、県としては全医療機関で実施してほしいものである。国の試算によると、B型肝炎ウイルス保持者は全国で43万人もいるという。そのうちの10〜20%程度が発症するのだから、ウイルス検査の重要性は明らかである。
 県は、関係機関・個人に話をしておくと同時に、厳しい財政の中で私たちの要望について、実現するのはむずかしいというのが回答の結論だったようだが、県民の命の行政の中心に据えて欲しいものである。


上の写真は、大津絵 鬼の念仏


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
  ●羽織着せかけ もし煙草入れ 忘れさんすな 宵(よひ)の事
  ●色の世界を さらりと棄てて これから夫婦で 共稼ぎ
  ●野暮な意見を いひたかないが これも年故 是非がない