桂林漓江下りと陽朔 その二

 人口約70万人の町の桂林には、毎年約700万人もの観光客が来るという。漓江下りの船着き場の竹江碼頭は、外国人専用のもの。観光シーズンなので、私たちの前後の船の数は20隻近くあって、連なって漓江下りをした。
 桂林の街も賑やかである。夜遅くまで人通りが絶えない。午後の10時過ぎから屋台がたくさん出て家族連れなどが軽食を食べている。
 中国では相変わらず「自動車」といって、バッテリーで動かす電動バイクが大変多い。日本の50ccバイクの形そのものである。出勤時間に大きな交差点でいると、大集団で前方からやってくる。その迫力は大したものである。「自動車」にはプレートナンバーがない。スピード制限は時速20㎞以下のようだが、30㎞は出るとガイドは言っていた。音も無く静かに接近してくるので、正直言って怖い。免許証も登録も、ヘルメットも税金もいらない。乗車人数制限も無いようだ。二人乗りは当たり前。すごいのは、夫婦二人に前後に子ども二人で、4人も乗っている場合がある。よく事故が起こらないなと感心する。信号無視含め、交通ルール無視は当たり前。ガイドも話していたが、勇気を持って広い道路を横断しなければならない。高齢者には優しくない道である。


 なぜか、スパイダーマンが貼りついていた。

 昨年、中国では1650万台の自動車が売れたという。今年は、もっと増えるだろうということで、世界一の販売を誇る国となった。中国経済の成長ぶりがうかがわれる。しかし、その一方で貧富の格差は一段と増している。中国は社会主義を目指していると言っているが、政治は社会主義(?)でも経済は全くの資本主義である。
 交通死亡事故も多い。昨年の交通事故で亡くなった人数は15万人と言うから、(中国の人口は14億人弱)かつての日本の交通戦争と一緒である。しかも、もっと自動車の数は増えるのだから、事故死ももっと増えるだろう。
 中国の一人っ子政策はあまりうまくいっていないようだ。朝、連れ合いと街を散策していたら、下のようなものを見つけた。説明を読んでみると、コンドームを販売する自動販売機であった。女性が「自動車」でやってきて、なかを点検して補充していた。産児制限を奨励する看板も見かけた。二人目は住民票に登録されないことがあると言う。その場合、私学にしか入れなく、勉強・就職などあらゆる生活部面で不利益をこうむる。不平等社会であると思う。
 日本では、1人の女性が生涯子どもを産む数は1.3人弱で人口の減少が懸念されている。人口の減少は日本の経済に大きな影響を及ぼすが、政府・財界は本格的には力を入れていない。TPP加入による外国人労働者の導入で、それを乗り切ろうとしているようだ。私は、TPPは百害あって一利なしと思うのだが。

俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
 ○来いと言(ゆ)たとて 行かれる路か 路は四十四里 夜は一夜
 ○来いと言うたとて 行かりよか佐渡へ 佐渡は四十九里 波の上