おかしいぞ!B型肝炎特措法

 10月31日と11月1日に、10月28日に閣議決定され国会審議にかけられようとしている「B型肝炎特措法案」についての国会内集会と国会議員要請行動があったので、連れ合いと参加した。
 この集会には全国から70人余りの原告・家族・弁護士が参加した。31日1時20分から開かれた集会では、二日間の行動提起された。その後社民党ヒアリング(福島党首)、公明党共産党に対してもヒアリングを行った。また5時半からは院内集会がおこなわれた。集会では詳しく今回の特措法案について説明がされたが、全く6月28日の国と原告との「基本合意」を踏みにじったものとなっている。多くの参加者から非難の声が上がった。
 佐藤弁護団長が特措法案の問題点について説明したが、大きく分けて4点ある。
 ①肝がん・肝硬変の患者と死亡者のうち、発症後20年を過ぎたものについては給付金を支払わない。民法除斥期間を盾にしているのだ。これについては、札幌地裁で和解協議が成立した際、裁判長が異例の所見(「とりわけ最後に除斥期間の問題が争点となりましたが、立法措置の際にあらためて国会その他の場で討議頂いて、よりよい解決をして頂けたらと思います。」)を出し、立法の場で20年問題を乗り越えるよう要請していることに反するものである。
 ②慢性肝炎患者についても発症後20年を経過したものについては、給付金を未経過のものの4分の1以下にしている。
 ③給付金の請求期間についても、5年以内としている。
 ④和解金の支払いに充てる財源のうち、12〜16年度に必要な7,000億円については、給与所得控除と成年扶養控除の見直しで確保すると明記し、国民と被害者である原告との間を分断しようとしている。
 11月1日には、自民党へのヒアリングを始め、厚生労働委員会所属の国会議員への要請行動、みんなの党へのヒアリングを行った。
 
 各政党、議員への要請行動の主な事項は以下の通り。
 ①「発症後20年」を経過した被害者に差を付けない「一律救済」立法に修正すること。発症後20年を経過した被害者への給付金に差をもうける法案には、立法府としては賛成できないという対応をとっていただきたい。
 ②全ての肝炎患者への恒久対策(治療・生活支援)の充実等を求める付帯決議の採択。多数の被害者(政府推計で45万人)がいるにもかかわらず、国が長期間救済を怠ってきたことなどのため立証の限界などによって個別救済を受けられない肝炎患者が多数います。
 ③本立法の審議の際には、本立法における最も直接的な関係者である全国B型肝炎訴訟原告団の代表を参考人として意見を聞いていただくこと。



 自民党本部でのヒアリング


 当日無理に退院して集会に参加した、大阪共同代表の久永さん


 共産党ヒアリング

 私は、大阪原告の一人として訴訟に参加しているので、大阪の原告とともに行動し、大阪の国会議員、徳島の国会議員に要請して回った。残念ながら民主党は与党の立場にあって歯切れのよい返事をもらえなかった議員が多かったが、それでも今回の法案には問題点が多くあると認識しているようで、野党とも連携して最後の場では私たちが要望している内容で法案の修正をしてもらいたいものだ。
 要請行動に参加している中で、あきれた話を聞いた。今回の裁判が始まったころ、ある議員が厚労省の官僚にB型肝炎について話を聞いた際「私たちこそ被害者だ」と発言したそうである。長年にわたるB型肝炎の蔓延の原因は、予防接種の際の注射器の使いまわしにあることは何十年も前から明らかであって、それを厚労省は放置して来た。それがこの訴訟になって「私たち」が世間やマスコミから非難される。そういうわけで「被害者」だというのだ。何十万人もの被害者を放置して、苦しみを味あわせていながら全くそのことに反省もなく、そういった発言ができる官僚の頭の中をのぞいてみたいものだ。


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
 ○恋に焦がれて 啼く蝉よりも 啼かぬ蛍が 身を焦がす
 ○声に現はれ 啼く虫よりも いはで蛍が 身を焦がす