B型肝炎訴訟大阪原告共同代表の小池さんが大学で特別講義

 昨日(11月28日)は、B型肝炎訴訟大阪原告共同代表の小池さんと大阪弁護団事務局次長の中島弁護士が、徳島文理大学薬学部の一年生を対象に講義を行ったので私も参加した。
 受講者は、対象の一年生90名ほどと、5年生や教員等総勢130名ほどであった。今回は、多くのメディアが取材に来ていた。NHKでは6時からの「とく6徳島」でニュースに流すと言っていた。徳島新聞毎日新聞朝日新聞・読売新聞からも取材が来ていた。
 10時過ぎに文理大学の佐藤教授の研究室で打ち合わせを行い、10時50分から特別講義が始まった。
 最初に佐藤政男教授(薬学教育センター)が、今回の講義を持ったいきさつを説明し、中島弁護士が「薬害を含めた医療行為による疾病を防ぐために」と題して30分ほど話しをした。その中では、薬害の定義、日本における主な薬害事件(サリドマイド事件・スモン事件・ソリブリジン事件・薬害エイズ事件)、なぜ裁判を起こさなければならなかったか(B型肝炎訴訟の場合は、1989年に札幌地裁で起こされた提訴が、2006年に最高裁判決で国の責任が確定されたにもかかわらず、原告の5人しか救済しなかったため、多くの被害者がその救済を求めて提訴した)、薬害を防ぐために(これから薬剤師となる人には、患者と接する時には病気だけでなく患者が何に困っているか、患者の側になって話すことが患者の不安の軽減になるなど)が話された。
 小池さんは、最初に自分の映像が映し出されている(関西テレビの報道番組アンカーなど)のニュースを見てもらい、B型肝炎訴訟の概略を知ってもらった後、自身が体験した治療や差別など(演題:幼少期の予防接種時の感染により数十年後にB型肝炎を発症して 長女を出産した時にB型肝炎と解った時の驚き 治療がうまくゆかず薬の副作用でうつになり自殺まで考えたことなど)を話した。そのあと、中島先生と二人で話の中で言いきれなかったことを補足発言した。
 佐藤教授らは、学生が普段の講義より熱心に聞いていたと驚いていた。やはり、実際に被害に遭った患者の経験したことを聞くことは、薬剤師を目指して入学した20歳前後の若者にとっては、衝撃だったのではないだろうか。学外の実習を経験した5年生が立ち寄ってきて、大変役立ったと話してくれた。

 今日の各紙に学生たちの感想が載っていたので紹介する。
 ○毎日新聞「言葉で患者を勇気づけられると教わった。今後の勉強に生かしたい。」
 ○徳島新聞「薬害の深刻さを痛感した。患者の支えになれる薬剤師を目指したい。」
 ○朝日新聞「医者や薬剤師の言葉が患者を傷つけることもあるし、励ますこともあることを知った。患者に寄り添うことのできる薬剤師になりたい。」

 講義の後、大学の近くで昼食をごちそうになった。


上の写真は、県議との懇談

 
 上の写真は話をする、小池さんと中島弁護士


 上の写真は、熱心に話を聞く学生たち 

 2時半からは、徳島肝炎の会の近藤事務局長も参加して、県議会議員(今回は新風・民主クラブの庄野昌彦幹事長・長池文武議員、日本共産党の古田美知代会長・扶川敦幹事長・達田良子議員の5名)と懇談を行なった。
 ここでは、徳島県では低い肝炎ウイルス検査の普及のための取り組みをしてほしい(徳島県では保健所で申込してからでないとできない)、肝炎治療(インターフェロン治療、核酸アナログ製剤治療)に対する医療費の助成の手続きをする時の事務を簡素化するよう国に働きかけて欲しい(今は、毎年行わなければならない)。県の感染症対策室の天野室長も同席していたので、議員からは徳島の実情について質問があった。
 
 12月18日(日)にも、B型肝炎訴訟の説明会が徳島で開催される。
 会場:あわぎんホール 会議室5 午後1:30〜 

 徳島県が「徳島県肝炎対策協議会」に資料提出した「市町村における肝炎ウイルス検診実施状況(平成5年度〜平成21年度)」によれば、5歳ごとの節目検診で対象となった人数203,597人のうち、受診したのは38,484人で受診率18.9%(383人)、B型肝炎ウイルスの陽性率は1.0%。節目外での受診者数19,466人の陽性率は1.1%(217人)であった。
 また、「保健所における肝炎ウイルス検査実施状況」によれば、平成14年度から22年度までの受診者数はわずかに2,692人で陽性率1.1%(30人)であった。
 国は1948年から1988年まで全国民への予防接種を義務化しており、この間の徳島県の対象となる人口はおおよそ213,000人と推定される。これでは大部分の人がB型肝炎ウイルスの検査をしていないといえる。早急な検診の普及が、B型肝炎発症による不幸を食い止めることになるのではないだろうか。この検診は、一度受ければ肝炎ウイルスの有無が判るので、早急な受診が望まれる。
 保健所の検診は、毎週1回の予約制なので、多くの放置されている人の検診には間に合わない。県内どこの医療機関でも検診が実施できるよう改善すべきである。


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
 ○吉田通れば 二階から招く しかも鹿の子の 振袖で
 ○神田通れば 海老茶が招く しかも下宿の 二階から