「天皇陵の謎」
- 作者: 矢澤高太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/10/19
- メディア: 新書
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天皇陵を含め多くの古墳がある奈良に行ったのは、数回しかないし、古墳にも行ったことがない。古代史にはほとんど関心がないためだ。
「推古天皇陵」の項で、「間近に聳える二上山の秀麗な姿を眺めながら、ブドウ畑や水田の畦道を辿る磯長谷での古墳歩きは、殊のほか楽しい。建物や電信柱や看板などの構造物に邪魔をされず、自然の景観の中に美しい姿を横たえる古墳の姿を味わえる場所も、近年は極端に少なくなった。」としているが、シーズンともなれば山野辺の道も、アマチュアの古墳愛好者でごった返すのであろう。
それにしても、著者の矢澤高太郎が指摘するように、明らかに学会の定説ともなっている間違った天皇陵の指定を続ける宮内庁の姿勢は、不可解なものである。前任者のしたことを踏襲して、波風を立たせないという事なかれ主義は、私が関係しているB型肝炎訴訟で厚労省の官僚が予防接種の時の注射器の使いまわしが、B型肝炎を蔓延させて多くの被害者を生んだことと、図式は全く同じである。
古墳の発掘・公開で、日本の古代史の疑問点が解明されることは大事なことだと思うのだが、著者は墓のあるべき姿として3点を示している。
①宮内庁自身が陵墓の真の被葬者を探すべきである。
②被葬者が別の古墳であることがほぼ確実なものは、速やかに治定換えをする。
③陵墓の公開をする。
最後に、著者は全く的外れのことを言っているのだが「そして、この国に憲政史上最悪、最劣の民主党政権を生み出してしまったのは、誰の責任だろうか。歴史観、国家観、文化観の欠落した政治家が国の命運を握り、自国の歴史、文化、伝統、さらに明治以降の戦死者の霊に一片の尊崇の思いも持ち得ない国民が、いたる所に溢れる平成ニッポン。」
いやはや、こういう国家をもたらしたのは、まさに明治国家の帰結だったと私は思うだが。
俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
○意気な梅が香 婀娜(あだ)めく櫻 赤き心の 桃の花
○最(いと)ど松虫 身は蟋蟀(キリギリス) 又も日ぐらし 啼くばかり
○花は世上の 愛嬌者よ 野暮な人にも 香を送る