「第7回肝炎対策推進協議会」傍聴

 3月2日、第7回肝炎対策推進協議会が厚労省の会議室で開かれたので傍聴してきた。
 会場には、日肝協や肝炎の原告がたくさん傍聴に来ていた。これからの肝炎対策をどう進めるかについては、この協議会での論議が大きな役割を果たしているからだろう。 協議会の委員20名には、医療関係者・官僚・医師会・健康保険組合・企業・労働組合のほかに、日肝協から3名(阿部さん・松岡さん・天野さん)、B型肝炎訴訟元原告の木村さん、薬害肝炎原告団の武田さん、薬害肝炎原告団の平井さんも加わっている。
 今までに肝炎行政では厚労省が何度も大きな過ちをしてきたので、こういう委員構成になったので、被害者・原告・弁護団の活動の大きな成果だろうと思う。
 今回の議題は、前回(2011年8月)に開かれた第6回肝炎対策推進協議会以降の取り組み報告と、来年度の肝炎対策予算案等についてが協議された。およそ140ページにもわたる資料を使って、いろんな委員、厚労省参考人からの説明があったが、なかなか進んでいないと思った。
 B型肝炎訴訟原告の立場で考えると、早急で本格的な恒久対策の確立が求められる。B型肝炎に限って言うと、そのためには各県で肝炎のウイルス検査の充実が最低限必要だが、実施状況にばらつきがあるだけでなく、受検状況もおさびしい限りであると思った。
 来年度予算についても総額239億円で、今年度より2億円増えていると説明していた。しかし、実態はいろんな施策がきちんとされていない為に予算が充分に執行されないため、その延長線上での来年度予算案となり、執行側の姿勢に問題ありと考える。
 たとえば、「国民に対する正しい知識の普及啓発」予算は2億円だが、ある委員は2ケタ(少なくとも1ケタ)違うのではないかと発言していたが、その通りであろう。
 新規の予算や増額したものもあるので、私は実質的には減額であると考える。本来きちんとやるべきことができなくて100%執行できなかった予算は、前年度実績に合わせたと説明しているのだから、できなかったことへの言い訳にしか過ぎない。こういうことだ。(  )内は今年度予算。
 ①肝炎治療促進のための環境整備は137億円(152億円)
 ②肝炎ウイルス検査の促進は41億円(55億円)
 ③肝疾患診療体制の整備、医師等に対する研修、相談体制整備などの患者支援等は10億円(7億円)
 ④国民に対する正しい知識の普及啓発は2億円(2億円)
 ⑤研究の推進は49億円(21億円)
 これで見ると、減額された総額は57億円にもなる。詳細にみてみたら、減額はもっと大きいのだろう。
 企業側の委員や労働組合の代表(?)である連合の委員は、差別偏見の解消や検診の充実について発言していたが、これ等は議事録にのせてもらって、さも所属する団体が力を入れているように見せるものとしての発言としか私には聞こえなかった。議事録という紙面でなく肉声を聞くと、発言した本人の意思(本音)が聞けるのである。
 多くのB型肝炎訴訟原告が、これからもこの協議会に傍聴参加し、私たちの代表である委員を激励し、厚労省への圧力をかけることが大事と思った。

 翌日3日は、「平成23年度厚生労働科学研究費肝炎等克服緊急対策研究 公開報告会」が三田で開かれたので参加した。
 午前中のシンポジウムでは、①我国の肝炎対策について(神ノ田昌博 厚労省・肝炎対策推進室長)、②B型肝炎の治療(四柳宏 東京大学)、③C型肝炎の治療(熊田博光 虎の門病院)から報告があった。来年度の肝炎対策予算やB型肝炎C型肝炎の治療の現状と今後の課題が語られて理解された。
 午後の部は13の研究班が一年間の研究の成果を報告する内容で、専門的なもので素人で門外漢の私には理解不能であった。しかし、熱心に努力して肝炎研究者が力を合わせて研究を進めており、まだ完治しないB型肝炎についても。近い将来は完治できる薬の開発ができることを確信させられた報告もあった。



我が家の張子面 鬼 倉吉張子


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
 ○花を咲かせて 又散らすとは 心無いぞへ 春の風
 ○花を散らしつ 柳を解(と)いつ 解いつ散らしつ 春の風
 ○花に焦がれる 胡蝶の夢を 悪(にく)や風めが 来て醒ます