肝炎対策に関するヒアリングと「発達障害の子どもたち」

 一昨日は、徳島県庁で「肝炎対策に関するヒアリング」をおこなった。これは、B型肝炎訴訟全国原告団弁護団が協力して行っているもの。
 大阪から中島弁護士をはじめ3名が参加し、徳島からは徳島肝炎の会事務局長の近藤さんと私が参加した。県からは、健康増進課感染症・疾病対策室の天野室長と担当者が出席した。天野室長は、10・11日に徳島で開かれた「全国難病センター研究会第17回研究大会」にも、徳島県の難病対策の取り組みについて報告された。
 事前に送ったヒアリング用紙をもとに聞き取りをした。その内容は国が示した「肝炎患者等支援対策事業実施要綱の改正」・「肝炎対策の推進に関する基本的な指針」が、どのように各県で実施されているかであった。
 7項目34点についての聞き取りであったが、私たちからみれば要綱・指針が充分には実施できていないと感じられた。先日、厚労省の肝炎対策協議会の傍聴に行った時も感じたが、「仏つくって魂入れず」のようで、きちんと実施できていれば相当な対策の前進が図られてしかるべきだと思った。
 特に、徳島のように人口が80万人にも満たない県では、専門知識を有する担当者の配置が困難で、すべて国の指示待ち・見本となる資料待ちの状況である。このヒアリングは各地で行われているので、各都道府県での実態状況がまとまれば、今後の恒久対策の立案にも大きな力を発揮すると思った。
 原告も積極的にヒアリングに参加することが、行政の後押しにもなるし、厚労省への圧力にもなると思った。


発達障害の子どもたち (講談社現代新書)

発達障害の子どもたち (講談社現代新書)

 「本書の帯には、ADHDアスペルガー学習障害自閉症などが、この一冊でわかる」とうたってはいるが、門外漢の私にとってはそうではない。しかし、多くの発達障害の子ども達が、適切な治療・対応を受けていない状況が見られ、そのために親も含めて苦労している状況が理解された。
 早い時期に、子どもの障害を見つけることは、子どもにとって将来がちがってくる。
 著者の杉山さんは「障害」という言葉のニュアンスに注意を喚起している。「障害を英語で記せばdisorderであり、disは乱れを意味し、orderは秩序を意味する。つまりdevelopmental disorderという英語の意味に沿えば、発達障害とは正しくは『発達の道筋の乱れ』あるいは『発達の凹凸』という意味になる。」としている。そして、「○○障害より○○失調症のほうがまだしも良いのでは」とも提案している。
 「障害」という言葉の表記についても、最近では「障がい」「障碍」など、どうするかいろいろ意見があるようだ。
 また著者は、「子どもを正常か異常かという二群分けを行い、発達障害を持つ児童は異常と考えるのは今や完全な誤りである。発達障害とは、個別の配慮を必要とするか否かという判断において、個別の配慮をしたほうがより良い発達が期待できることを意味しているのである。」として、発達障害の定義として、「発達障害とは、こどもの発達の途上において、なんらかの理由により、発達の特定の領域に、社会的な適応上の問題を引き起こす可能性がある凹凸が生じたもの。」としている。また、「発達障害とは、明らかに自らの責任で子どもたちが受けたものではない。それをきちんとサポートするシステムこそ、歴史の進歩である。」とも語っている。
 こんなことを考えてみると、大阪市の橋下市長が提案している小学校の留年制度などは、全く発達障害を持つ子どもの切り捨てにしかならないだろう。



上の写真は、我が家の張子面 宮内フサ(1985年102歳で死去)作品(高松)


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
 ○星の数ほど 男は有れど 月と見るのは 主一人
 ○解いて結んだ 柳の糸を じらす心か 春の風
 ○刺(とげ)の中にも 花咲く茨(ばら)よ 知らず手を出しや 怪我をする