障害者制度改革について考える地域フォーラム

 一昨日(15日 1時半から)障害者制度改革について考える地域フォーラムを徳島でも立ち上げようとする団体主催の講演会があったので、参加した。講師は藤井克徳さん(日本障害フォーラム幹事会議長)で、演題は「障害者施策の動向と取り組むべき課題  〜最新動向をどう読み解くか、私たちの問われるもの〜 」であった。講師の藤井さんは私が事務局のお手伝いをしているきょうされん徳島支部の上部団体である「きょうされん」の常任理事。きょうされんは旧称を業所全国絡会といった。
 東日本大震災では、NHKや毎日新聞の調査(国は実施していない)では、障害者の死亡率が他と比べて2倍ほど高く、その中でも難聴者・視覚障害者の死亡率は4倍ほど高かったという。また、障害者の賃金はワーキングプアと言われる年収200万円以下の人たちの半分以下の100万円ということだった。
 そして、障害者施策の水準をとらえる場合の物差しとして、4点をあげた。①障害の無い市民との比較 ②同水準の国々(欧米)との比較 ③過去との比較 ④障害当事者のニーズとの比較 である。
 欧米では、障害者の賃金は他の労働者と同じであるが、共同作業所で働いている障害者を見ても分かる通り、圧倒的な低賃金である。憲法第25条で保障されているはずの「最低限度の文化的な生活を営む権利」が保障されていないのである。
 そういうなかで2006年12月に成立した障害者権利条約は、画期的な意味を持つ。しかし日本では、国内法がこの国際条約の基準に達していないために国会で批准されていない。早急な法整備が求められている。
 また、障害者自立支援法憲法違反であるとした訴訟について、2010年1月7日に国と原告団弁護団との間に和解が成立し基本合意がされて、障害者自立支援法を廃止し、障害者基本法の改正が約束された。そして障害者、障害者団体・弁護団も入った「障がい者制度改革推進会議」が発足して、制度改革の論議をしてきた。講師の藤井さんはこの制度改革推進会議の議長代理として大きな役割を果たした。また「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(骨格提言)が出されて、この文書を基本に各種障害者施策が作られるはずであった。
 しかし、講師の藤井さんは改正障害者基本法は前進面もあるが不十分な面も多々あると指摘した。
 国・厚労省は基本合意の中身を骨抜きにしようとしている。もうすぐ採択されるであろう障害者総合支援法案と骨格提言とのギャップあは余りにも大きい。多くの新聞が社説の中でその不当性を批判し、「民主党の掲げた自立支援法の廃止は見送られ  中略  法の不当性を訴えて国と和解した元原告の理解は到底得られないだろう。」(京都新聞2月9日)などと書いた。
 それでも、障害者はあきらめるわけにはいかない。藤井さんは最後に、障害者運度にとって大切な3つの視点を挙げた。 ①あきらめない ②ぶれない ③こびない である。そしてまた、一人ひとりに求められる力として ①創る力 ②繋がる力 ③伝える力 ④続ける力 を挙げたが、これこそきょうされんが35年間の運動の中で引き継いできたものであったと思う。




我が家の張子面 きつね



俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
 ○無理に蕾を 咲かせた罰で 花の春風 他所に吹く
 ○娘島田に 蝶々が止まる 蝶々止まれや 花ぢゃもの
 ○梅も桜も 牡丹も厭よ 儂(わし)は返事を きくが好い

 最近、消費税増税やこの障害者自立支援法などを見ると、民主党の後退ぶり(反国民的)な対応は眼を覆うばかりである。