「岡本一平集」

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 大阪でB型肝炎訴訟の期日があった時に、近くにある古書店街で買った一冊。販売元は勁草書房。本書の刊行は1981年だが、大正14年プラトン社刊『弥次北再興』より収録と、奥付に書いている。
 岡本(1886年〜1948年)関係で読んだのは、「岡本一平 漫画漫文集」(岩波文庫 清水勲編 1995年)。岡本は朝日新聞の専属漫画家で、彼の漫画は「漫画漫文」として一世を風靡したと言われているようだ。作家である妻の岡本かの子との特異な生活が、鬼才岡本太郎を生んだのだろう。
 本書の「序」で岡本は『弥次喜多再興』は絵画脚本だとしている。そして弥次喜多を題材にしている。もちろん、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」に登場する弥次喜多を念頭に置いたものだ。
 11編からなるこの漫画、最後の「無銭不戦」は1925年に溝口健二監督の手で映画にもなった。中国が舞台のこの漫画、「無銭不戦」(うちゑん ぶちやん)というルビがふっているが、語の意味は「金をくれなければ戦わない」ということ。主人公の孟八郎と金持ち娘の燕娘とのやり取りが面白い。

 ところで、岡本一平は戦時中にはやった国民歌謡である「隣組」の作詞者でもあったことが「岡本一平 漫画漫文集」に書かれている。戦後すぐの生まれの私も知っているのだから、戦後のある時期までは歌われていたのだろう。
 歌詞を紹介する。こうしたいろいろな角度から、国民の精神・生活が侵略戦争へと組織されていったのであろう。

  とんとん とんからりと 隣組
  格子(こうし)を開ければ 顔なじみ
  廻して頂戴(ちょうだい) 回覧板
  知らせられたり 知らせたり

  
  とんとん とんからりと 隣組
  あれこれ面倒 味噌醤油
  御飯の炊き方 垣根越し
  教えられたり 教えたり

 
  とんとん とんからりと 隣組
  地震やかみなり 火事どろぼう
  互いに役立つ 用心棒
  助けられたり 助けたり

 
  とんとん とんからりと 隣組
  何軒あろうと 一所帯(ひとしょたい)
  こころは一つの 屋根の月
  纏(まと)められたり 纏めたり

 昨日はメーデー徳島城公園前で開かれたので例年通り参加した。会場で、守大助さんが仙台地裁に再審請求を申請したので、再審開始決定を出すよう裁判長に求める署名活動を行った。会場は300人弱の人が来ていたが、3人で154筆の署名を集めることができた。



我が家の張子面   狐 福島・三春張子 


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
 ○手の届く 梅の梢を 折らずに置いて 届かぬ櫻で 苦労する
 ○明けの鴉と 鶏や憎い 可愛い男の 眼を覚ます
 ○朝咲いて よつに萎れる 牽牛花(あさがほ)さへも 露に一夜の 宿を貸す