「風刺漫画で日本近代史がわかる本」湯本豪一
連休中のできごとで大きかったことは、沖永良部島(鹿児島県)から叔母が従妹と徳島に来たこと。孫が徳島に住んでいて会うために来たのだが、孫の結婚式以来で11年ぶりと言う。
今年88歳の叔母は、耳は遠いが足腰は達者。半日、四国88番札所の一番霊山寺と鳴門の観潮船を案内した。
3日に愛媛県の笹ヶ峰に行く予定であったが雨のため中止。そこで九条の会徳島が主催する憲法講演会に参加した。
- 作者: 湯本豪一
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2011/11/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
本書では、戊辰戦争からサンフランシスコ平和条約までの時代を描写した漫画が、収載されている。
郵便制度の開始、鉄道開業、太陽暦の採用、帝国憲法発布等で、西洋化に邁進する一方で、日清戦争(1894年)・日露戦争(1904年)へと日本は帝国主義国家として歩き始めてきた。
「33.内地雑居」の項では、団団珍聞(まるまるちんぶん)の明治32年7月1日号に掲載された「内輪の慈姑(くわい)議」の漫画を紹介し、こう説明している。「慈姑(茎が辮髪に似ていることから清国人の意)をどのように扱うかで内輪もめする日本の姿から、日清戦争で勝利して欧米との平等を求める一方で清国人は差別の対象だったという矛盾が浮かび上がる。」
「66.食糧管理」では「娘十六決戦生活」(池田さぶろ 決戦漫画集 昭和19年)を紹介している。絵のト書きには「生花 庭園・ゴルフ・リンクは食糧増産の田園に還すべし。射光を防ぐ見越しの松は日本精神象徴として生花に用ふべし。」「音楽 英米流の歌を追放せよ。士気高揚生活慰楽のためにも決戦の愛国歌をうたふべし。」「文学 感傷をのりこへ私情を捨てる精神を培養せる文学は遠く古典文学に在るを思へ。文学は決して恋愛小説のみに非ず。」「料理 割拠的塀や垣根は防空防火の邪魔。取りこはして燃料節約に奉仕すべし。」「科学を身につけよ。買出しに田家をかけまはるより雑草・樹木に医薬・食糧の糧を発見し採集せよ。」
こうなるともうお笑い種である。何か、今の北朝鮮の姿をほうふつとさせられる。
俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
○咲いた櫻に 手は届けども 余所の花なりや 見て戻る
○咲いたが花やら 咲かぬが花か 咲くを待つのが 花の花
○咲いた花なら 散らねばならぬ 恨むまいぞへ 小夜嵐