「不愉快な現実」とB型肝炎訴訟

 B型肝炎訴訟関係で、今月は東京へ4回、大阪へ1回行くことになってしまった。6日は肝炎フォーラム、11日は厚生労働大臣との協議、16日はB型肝炎訴訟の恒久対策会議、23日は厚労省の肝炎対策推進会議、21日は大阪でB型肝炎訴訟の恒久対策会議である。国の来年度予算に向けてB型肝炎対策をどうするか、これからが正念場である。全国の原告団弁護団が訴訟の個別和解の促進と同時に、恒久対策をどう作り上げていくか知恵と力を傾注していおる。
 7月1日のブログで「6月27日までに和解が成立したのは、原告5,184人のうちわずか470人。わずか9%の和解率である。」と書いたが、私が所属する大阪原告団では、以下のとおりになっている。

   6月8日現在
  被害者数 867人
  原告数  929人
  死亡   58人(内提訴後死亡11人)
  肝がん  162人
  肝硬変  76人
  慢性肝炎 419人
  キャリア 152人

 国が抜本的に訴訟の審査体制を強化しないと、提訴中にもっと多くの方が亡くなるだろう。ある資料を見ていたら、集団予防接種時の注射器の使い回しで感染した被害者が40数万人おり、その内提訴できるのは10万人にも満たないだろうとあった。提訴できないと救済されないのだから、国が長年B型肝炎の蔓延を放置してきた結果、このままでは全く泣き寝入りになってしまう。恒久対策が必要なわけである。
 徳島では、次回の相談日は次のとおりの予定である。 
日時:9月15日(土)1:30〜5:00
 会場:あわぎんホール


 今日のブログのタイトル『「不愉快な現実」とB型肝炎訴訟』は、B型肝炎についてではない。本のタイトルである。もっともB型肝炎訴訟の現状は、全く「不愉快な現実」とでも言うべきではあるが。


不愉快な現実  中国の大国化、米国の戦略転換 (講談社現代新書)

不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換 (講談社現代新書)

 外務省に入省して長年外交官として活躍し、また防衛大学教授としても勤めていた著者(孫崎享)は、「日本はいま歴史的岐路に立っている」として『中国がGDPで日本を追い抜いたという現象は、「世界二位の経済大国」の座をめぐる戦いに終わらない。中国が米国を追い抜く序章でもある』と指摘している。
 それを前提に、米国に依存していれば日本の繁栄が保てるという幻想からの転換を促している。確かに、国民1人当たりのGDPは日本よりはるかに低いが、いつまでもそうではない。米国はすでに中国重視にシフトしているのだが、日本は未だに米国重視で、世界の変換に追い付いていないどころか離されている。
 また、「米国国防省の『中国の軍事力』は中国を危険な存在として位置づけ、万全を尽くしてその危険を抑えるべきだというような論は展開していなし。むしろ中国を西側との協調を志向する国との位置づけを行っている。」と指摘している。
 この論が正しいとすれば、石原都知事尖閣諸島を東京都が買い上げるなどということは、全く国民の利益にはならないだろう。中国との対立をあおる偏狭な国家主義は危険な方向に国民を導くものだろう。
 著者は外交官の経験の立場から、尖閣諸島の領有権について「尖閣諸島の問題を考える出発点は、尖閣諸島が日本固有の島と国際的に認知されているのではなく、日中間で主権をめぐり係争の島であると認識することである。」としている。領土問題では、「第一に相手の主張を知り、自分の言い分との間で各々どれだけ客観的に分があるかを理解し、不要な摩擦は避ける」としている。

 中国が冒険主義的対外政策を取らないという理由として、GDPに対する輸出比率(2010年)をあげている。米国:8.8%、日本:14.0%、EU:11.0%、中国:26.6% である。ここで中国が輸出市場を失うような政策を取ると、成長著しい中国の国民生活が頓挫して、国民の支持を失うことになる。

 「いま、日本人に求められているのは『日本の隣国中国は、経済・軍事両面で米国と肩を並べる大国になる』という事態を直視できるか否かである。そして『米国との協調のみを求めれば日本の繁栄があるという時代は終わった』という事態を直視できるか否かである。」といっているが、阿片戦争以後の中国への差別意識を払しょくしなければならないと思う。




 我が家の張子面  鬼(高松 宮内フサ)



俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
 ○意気地張りとは いやいふ者の 矢張眼につく 金時計
 ○小指切ろとは 當座の事よ 金が無くなりゃ 手迄切る
 ○厭で幸ひ 好かれちゃ困る 外に好いのが ある私