「絶滅危急季語辞典」 夏井いつき

 次回の、B型肝炎訴訟大阪弁護団による「B型肝炎特別措置法・無料説明会」は11月17日(土)あわぎんホールと決まった。
 それまでに、徳大訪問や徳島県の肝炎対策協議会傍聴、大阪・東京でのB型肝炎関係の会議が目白押しで、忙しい10月になりそうである。
 それでも、昨日から二女夫婦が孫を連れて、徳島に遊びに来ているので、大山(1,729m 鳥取県・中国地方で一番高い山)に登ることにした。台風が早く収まってくれればと願う。

 とにかく楽しい本である。

絶滅危急季語辞典 (ちくま文庫)

絶滅危急季語辞典 (ちくま文庫)

 以前、愛媛県松山市在住の著者の「絶滅寸前季語辞典」を紹介したが、その続編。「絶滅寸前季語保存委員長」である著者は、とにかく無理矢理にでも死にかけた季語の再生・保存を呼びかけて、怪しげな俳句を募集してその紹介に努めるのである。
 俳句は作ったこともないし、何冊かしか読んだことがないので、季語のことは全く分からないが、本書に出てくる季語を読んでみると、日本人の生活の歴史がみえてくるのである。
 著者が俳句を作る際の座右に置いている本は「図説俳句大歳時記」(角川書店 昭和40年初版 全5巻)と「カラー版新日本大歳時記」(講談社 平成12年初版)。季語といっても、この大部の両書にも例句が掲載されていないものにまで季語に生命を与えるために作ってしまう。

 やたらと長い季語も出てくるのだが、それでも無理やり俳句にしてしまう。


 「鷹化して鳩となる」
 (鷹が春ののどかな気候に影響され、鳩に姿を変える、という意味)
 鷹化して鳩となる日の見合いかな  夏井いつき


 「二十六人聖人祭」
 (2月5日、日本で初めてキリシタン殉教者26人が処刑された日。豊臣秀吉は大阪・京都の信者24名をとらえ、鼻と耳を削ぎ落とした後、自ら名乗り出た2人を加え、長崎の西坂の丘で十字架の刑に処した。  後略)
 二十六人聖人祭の雲が歌っているんだよ  ほろよい
 二十六人聖人祭の風の声  夏井いつき


 「夜糞峰榛(はり)の花」
 (梓の花の異名)
 暁のよぐそみねばり花散れり  今川ただし
 天網恢恢よぐそみねばり花つけよ  夏井いつき


 「土用丑の日の鰻」
 (土用鰻の副題)
 土用丑の日の鰻なり焦げてけり 夏井いつき

  
 本書の解説を書いている古谷徹は「驚いたのは俳句の歴史の長さと、季語の数だ。同じ事象や意味を表す季語もいくつもあり、日本語というのはなんと複雑で粋なのかと改めて感じた。きっと古の俳人は自分の思いを俳句に託す際に、どストライクな季語が無かった場合、創作したに違いない。それが出来るのが俳句の自由なところであり、日本語という言葉なのだろう。」と語っている。




我が家の張子面 娘汐汲み 宮内フサ(1985年102歳で死去)作



俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
〇昨夜(ゆふべ)見た見た 大きな夢を 奈良の大仏 蟻が曳(ひ)く 
〇京の大仏に 帆柱持たせ 鯨釣り度い 五島浦
〇坊さん頭へ 飯(まま)粒つけて 章魚(たこ)の丸寿司 よく出来た