上海大学で短期語学研修 ⑧  と「中国の市民社会」 中国でもB型肝炎患者多数

 20日朝、前日に西湖から河坊街までタクシーに乗った時、その女性運転手に9時出発で貸し切りを頼んだのだが、いくら待っても来ない。こちらの中国語が通じなかったのか、それとも冗談と思ったのか。仕方がないので、ホテル前に来たタクシーに頼んだ。1時間100元だという。どうやらこの金額が相場らしい。行くことにしたのは西湖周辺の寺など。浄慈寺・南宋官窯博物館・六和塔・中国茶葉博物館・霊隠寺がこちらの注文であった。
 中国では、65歳以上は入場料半額、70歳以上は無料というところが結構あった。70歳のK山さんはその恩恵に多いに与った。私は、半額の部類。
浄慈寺(禅寺)は晩鐘が有名な所。南宋官窯博物館は42,500㎡もあり広い構内に多くの建物があった。陶磁器にはほとんど興味を持たない私だが、陶器で作った子供向けのおもちゃには惹かれた。
 六和塔は小高い丘の上にあった。登っていくのが大変。高さ59.89メートル、敷地面積約890平方メートル。7階建ての塔身は南宋時代のもので、13層の外層は清末に増築されたものであった。外観は13階だが中を登ると7階しかない。塔から見下ろす銭塘江と銭塘江大橋は、もやっていてよく見えなかった。
 中国の杭州は緑茶の龍井茶で有名。杭州市特産のこの緑茶は、色が緑、茶葉が平、味が醇和、香が馥郁であることから四絶と中国では称されているという。中国茶葉博物館のパンフレットによると、中国の茶葉の分類には6種類あって、緑茶・紅茶・烏龍茶(青茶)・白茶・黄茶・黒茶だという。同じく元稹(779年〜 831年。中国・唐代中期の詩人で白楽天と同時代の人。)が茶のことを詠んだ詩「一言至七言詩」が紹介されていた。松浦友久先生の「中国名詩集 美の歳月」(朝日文庫)には、「楽天(白楽天のこと)の江州司馬を授けられるるを聞く」という元稹の詩が収録されている。
  
  残灯無焔影憧憧
  此夕聞君謫九江
  垂死病中驚坐起
  暗風吹雨入寒窓

 残灯(ざんとう)焔(ほのお)無くして、影(かげ)憧憧(とうとう)たり。此(こ)の夕(ゆうべ)、君が九江に謫(たく)せらるるを聞く。垂死(すいし)の病中、驚いて坐起(ざき)すれば、暗風(あんぷう)雨吹いて寒窓(かんそう)に入る。
消えかかる灯火は焔も立たず、影さえ憧憧と暗くかすか、此の夜、君が九郡の司馬に流謫されたことを聞いたのだ。瀕死の病床にありながら、驚きのあまり半身を起こせば、深い夜の闇のなか、風は雨を交えて寒々とした窓に吹き込んでくる。

   「一言至七言詩」は以下の通り。
         茶。
      香葉、嫩芽。
     慕詩客、愛憎家。
    碾雕白玉、羅織紅紗。
   銚煎黄蕊色、碗轉曲塵花。
  夜後邀陪明月、晨前命対朝霞
 洗尽古今人不倦、将知酔前豈堪夸。

 中国の詩人は楽しいことを考えるものである。

 中国茶葉博物館で昼食休憩をした。運転手のお兄さんが私の年齢を聞いてきた。私も彼の年齢を聞くと30歳。結婚していて8歳の娘と4歳の息子がいると言ったときの笑顔は楽しそうだった
 最後は霊隠寺(禅寺)。入場券の裏に書いてある紹介を見ると、紀元328年の創建。創建以来江南地方の最も有名な禅寺であった。五代呉越の最盛期には9楼、18閣、72殿、僧坊1,300間、僧侶数3,000人余りいうからすごい。多くの人が訪れていた。霊隠寺には石窟がたくさん見られた。
 西湖の周りの有名なところを巡って、杭州駅に着いたのが3時であった。タクシー代の支払いは450元。ホテルの宿泊代はツインの朝食付きで498元であった。



 六和塔


 霊隠寺の石窟


 茶葉博物館の大きな茶葉の塊


 河坊街の大きな布袋


 杭州駅で

 中国・上海で読んだのは、「中国の市民社会」(李妍焱著)


中国の市民社会――動き出す草の根NGO (岩波新書)

中国の市民社会――動き出す草の根NGO (岩波新書)

 中国の草の根のNPOの動きがよくわかり、これからの中国を市民がどう変えていこうとしているのかが理解される。したたかにねばり強く、中国共産党・政府と相対して行っている様子が書かれていると思う。

 著者によると中国でも「学校での集団予防接種の際に、注射針が使い回しされた事で大量に生み出されたB型肝炎の感染者の問題に人々は衝撃を受けた。日本も薬害エイズB型肝炎の患者が長年、偏見や差別と闘い、補償を求め訴訟を起こし、社会運動を展開してきた。B型肝炎集団訴訟に対して、ようやく11年、日本政府と原告側との基本合意が達成された。感染の実態が完全に露見してから実に20年以上の月日がすぎ去っている。中国ではB型肝炎ウイルス感染者は1億人いると言われ、1990年代から、就学や就職をはじめ、日常生活の多くの場面で差別を受けてきた。2003年から当事者たちが集団で権利の擁護を主張するようになり、患者の一人だった陸軍(Lu Jun)が07年に活動の組織化をはかり、『益仁平』(Yi Ren Ping)を立ち上げた。」と記述している。
 大阪のB型肝炎訴訟を支援する一人に中国人留学生がおり、彼女もB型肝炎ウイルス感染者で、自分の将来に不安を持ちこの事をテーマにした修士論文を書いていた。


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
○土佐はよい国 南を受けて 薩摩おろしが そよそよと
○往(い)こか参(まい)らんせうか 米山薬師 一つ身の為め ササ主の為め
琉球へおじやるなら 草鞋履いておじゃれ 琉球は石原 小石原