上海大学短期語学研修 ⑭

 1月26日(土)・27日(日)には5人で蘇州に行った。乗車時間は35分ほど、一等車の乗車賃は59.5元。蘇州は「上有天堂、下有蘇杭」(天には極楽があり、地には蘇州と杭州がある。)と称せられた美しい街。しかし、着いた蘇州駅は大改装中。
 ここまで書いて、大きな間違いに気が付いた。昨日の記事、携帯の写真以降の内容は1月27日の出来事であった。
 蘇州に行ったのは3組ほどであった。それぞれが気の合った同学達と旅行。私は、いつもの5人組で行動。蘇州駅に着くと、改札口は観光客目当ての客引きで一杯。大きなプラカードを掲げて、私たちを通せんぼ。その間をくぐりぬけてバス停へ直行。前日、皆で打ち合わせていた通り最初に虎丘に行こうとしたのだ。ところが、バスで行くと時間がかかりそうなので、タクシーに変更することにした。
 男がよってきて1人2元という。虎丘までというとこれまた1人2元というので付いてゆくと、汚いワンボックスカーに乗れという。5人だからこれはちょうどよいと思ったが、どういうことか知らない女性まで乗り込んできた。運転手に奥さんかと聞くと、知り合いの奥さんだと言う。とにかくこちらは虎丘に連れて行ってくれればよいわけで、あとはどうとも構わない。水上船にも乗りたいなと言ったところ、獅子林の船着き場まで来た。虎丘まで行きたいのだが、どうも雲行きが怪しい。身ぶりと片言の中国語で、80元もする船には乗らないと言うと、また車はどこかへ走ってゆく。旅行社に連れて行かれた。私は車内で待っていたのだが、どうやら100元で市内観光ができるように話がついたようなので、安心した。
 車を乗り替えて行こうとしたら、今度は若い男が乗り込んできた。彼は誰だと聞くと、運転手は導游員(dao you yuan 観光ガイド)だと言った。えらくサービスがよいて、その後も市内の観光地を巡るものばかりと思っていたのだが、大違い。運転手は今度はミニバスと言う。何事かと思っているうちに、車を乗り換えて観光バスに乗れと言うではないか。こちらは虎丘までワンボックスカーで行くつもりなのだが、片言の中国語しか出来ないのは大変つらい。
 車中は中国人ばかり。仕方がないので、この観光ツアーの一員となった。行ったところは、獅子林・寒山寺で、それ以外は行きたくもない刺繍の店・紫石で作る茶道具の店・真珠の店であった。目的地だった虎丘はバスの中から遠望しただけ。それでも、古城河水上遊覧があって、船上から見る蘇州の風景は思わぬ儲けものであった。何しろ、船が120元、バス代(蘇州園林一日乗車証)が15元、それに各地の入場料を含むと100元ではお手頃価格と言ったところか。
 古城河水上遊覧の乗船券の裏には、唐代の詩人杜荀鶴(du xun he 846年-904年)の5言律詩の前半部分がが書かれていた。全体は以下の通り。

  送人遊呉 song ren you wu
--- 杜荀鶴
  君到姑蘇見 jun dao gu su jian
  人家尽枕河 ren jia jin zhen he
  古宮閑地少 gu gong xian di shao
  水港小橋多 shui gang xiao qiao duo
  夜市売菱藕 ye shi mai ling ou
  春船載綺羅 chun chuan zai qi luo
  遙知未眠月 yao zhi wei mian yue
  郷思在漁歌 xiang si zai yu ge


   友人を蘇州に送る
  君が蘇州に行けば見るだろう
  小川の縁に建てられた家家が
  古都に密集する様を
  絡みあう川の支流に多くの小橋がかかり
  夜市では菱の実や蓮根が売られ
  春には着飾った旅行者が船で繰り出す様を
  眠れぬ月夜耳を澄ませば
  漁師の歌を聞いて故郷を思うに違いない


 夕方、繁華街の観前街の前にあるホテル(広場酒店 plaza hotel)に着いて,一服してから食事に出かけた。観前街を散策。若い人が多い。とにかく蘇州は561万人もいると言うのだから大都会である。観前街にある寺の夜店で人形を買った。


 「震動式皮老虎」という紹介であった。説明書によると、共鳴原理を応用していると言う。人形についているひもを引いたり、人形を捩じると音が出てくるおもしろいものであった。

 写真は上から、観光バス、ガイド、ワンボックスカー



俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
○離れ離れの あの雲見れば 明日の別れも あの如く
○よしや今宵は 曇らば曇れ とても涙で 見る月を
○いらぬ煙管(きせる)の 羅宇が長うて 様と寝た夜の 短かさよ