「清朝と近代世界」 吉澤誠一郎 (岩波新書)

 昨日は、連れ合いら4人と映画「いわさきちひろ 〜27歳の旅立ち〜」を観てきた。 画家いわさきちひろいわさきちひろ(本名松本知弘、旧姓岩崎。生年1918年12月15日没年 1974年8月8日。こどもの水彩画に代表される福井県武生市≪現在の越前市≫生まれの日本の画家・絵本作家。)は、独特の絵を描いている。
 ちひろ美術館では「水彩絵の具を駆使し、やわらかで清澄な、独特の色調を生み出したいわさきちひろ。西洋で発達した画材を用いながら、水をたっぷり使ったにじみやぼかし、大胆な筆使いを生かした描法などは、むしろ中国や日本の伝統的な水墨画に近い表現をみることができます。あかちゃんや花びらには、輪郭線を描かずに色のにじみで形を表す『没骨(もっこつ)法』が用いられています。ほかに、先に塗った色が乾く前に別の色をたらして複雑ににじませる「たらし込み」や、筆のかすれたタッチを生かした『渇筆(かっぴつ)法』など、さまざまな技法も使われています。」と紹介している。
 我が家にも何冊かいわさきちひろの絵本があったが、今では孫たちの家の本棚にある。
 映画では、彼女の作品等を用いながら、黒柳徹子や夫の松本善明、息子の松本猛、友人の平山知子等が登場して、彼女の人となりを紹介している。女性が今よりももっと自立して生きることが困難な時代を経て、多くの経験の中から生まれた彼女の作品の神髄がわかるような内容であった。


清朝と近代世界――19世紀〈シリーズ 中国近現代史 1〉 (岩波新書)

清朝と近代世界――19世紀〈シリーズ 中国近現代史 1〉 (岩波新書)

 全六冊のこの「シリーズ中国現代史」。岩波書店では、「本シリーズは、19世紀から21世紀に至る中国の歩みをたどることで、現代の中国を歴史的な射程のなかでとらえることをめざしています。政治・外交の変化、社会の動向、周辺部の状況、日本との関係などにも目配りをし、21世紀のスタンダードとなる歴史叙述をお届けいたします。本シリーズが、中国をさらに深く理解する手がかりとなることを願っております。」と紹介しているのだが、第4巻が2011年1月に出版されてからあとが出ていない。それだけ現代中国を書くことは難しいのかと思ってしまう。
 清朝末期の政治家の評価については、最近ではだいぶ変わってきたようだ。李鴻章についても私が歴史を学んだころは、欧米列強と数多くの不平等条約を結び、下関条約で台湾を日本に割譲した「売国奴」として長く批判されてきたが、そうとも言えないようだ。
 中国では51の民族が住んでいて、小学生向けの教科書「語文」では民族協和のテーマも出てくるのだが、実際は長い歴史を見てくるとそうでもないので、今後もいくつかの民族・地域では独立の動きがもっと大きくなるだろう。本書を読んでそう感じた。





我が家の絵馬 熊野速玉神社 2007年9月4日購入



俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
○三月食はでも 三年着ても 殿に着せたい 紗の羽織
○辛苦島田に 今朝結(ゆ)た髪を 様が乱しやる 是非も無い
○主の来る夜は 宵から知れる 〆(しめ)た扱帯(しごき)が 空解ける