「被爆と被曝」 肥田舜太郎
被爆と被曝―放射線に負けずに生きる (幻冬舎ルネッサンス新書 ひ-3-1)
- 作者: 肥田舜太郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎ルネッサンス
- 発売日: 2013/02/27
- メディア: 新書
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本の帯には「96歳、広島原爆で『被爆』した反骨の医師による渾身の提言」とあった。著者は、1917年広島市生まれ。1944年に陸軍軍医学校を卒業して、広島陸軍病院に勤務してそこで原爆被爆した。多くの被爆者の救援・治療にあたってきた。1975年以降は、欧米を中心に海外渡航をして32回、延べ37カ国、147市町村で250回に及ぶ講演を行い、被爆の実相を語り、核兵器の廃絶を訴えてきている。
ここで強調されているのは、命の大切さ、子どもの命を守る大切さである。「はじめに」の詩の中で、著者はこう言っている。
この国の原発すべて止め、核兵器をすべてなくし
汚せしこの国、きれいにするは、
汚せしわれら、大人の責務なり。
そして、広島・長崎の原爆が与えた人体への被害について、投下直後の目に見える急性障がいだけを取り上げて公表し、低線量の内部被曝による晩発性障がいを最高軍事機密として日本国内、および世界にひた隠しにしてきた、米国の姿勢に批判を加えてる。
そう言えば、福島原発事故の際、多くのメディアに登場した政府関係者・原子力専門家は、「直ちには健康には大きな影響がない」と言い続けてきた。
著者は、「放射線物質は、たとえ少量でも体内に入ると、確実に細胞の遺伝子に傷を負わせます。そして傷つけられた細胞が生き延びると、同じように遺伝子に傷をもつ細胞を次々とつくり続けます。この細胞は、健康に何の害も与えないまま過ぎることもありますが、多くの場合は免疫の働きを弱め、成人病やがんなどを発症させる要因になります。」と警告している。
福島原発事故で放出された多大な量の放射線と同様に、全国各地に林立する原発からも日常的に放射線が漏れ出している。これも「直ちには大きな影響がない」と言って済ませる問題ではない。
核兵器・原発をなくすことが第一だが、それと同時に自己防衛の方法についても著者は提案している。
子どもを放射線から守る食事の工夫として、
①放射線を減らす
②放射線を骨や筋肉など体内に取り込まれにくくする
③放射線を体の外に出す
④免疫力を補う
今の安倍政権、原発再稼働に積極的に動いている。国民の生命・財産を守るべき国の責任を放棄しているとしか言えない。
我が家の絵馬 長野・駒ケ根 光前寺 2008年8月10日購入
俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
〇人の振り見て 我が振り直せ 櫻花見て 色直せ
〇髪を島田に 結ばうより御方 心島田に 持ちなされ
〇男伊達より 金より心 心さへ善けや 振りいらぬ