B型肝炎訴訟大阪地裁の期日 偏見・差別の根絶に向けた取り組みを
昨日は、大阪地裁でB型肝炎訴訟の裁判があったので参加した。この日も傍聴者が100名を越えて満席であった。提訴者が増えてきた証拠でもある。
今回の和解者は133名で、徳島の提訴者にも3名の和解があった。大阪地裁ではこれまでに1,849人が提訴して、その内877名の和解となった。
裁判では3名の提訴者が意見陳述した。一部紹介する。
原告番号1648 この人は現在54歳の女性で、昨年12月に余命3カ月を宣告されている。28歳の時B型肝炎ウイルスに感染していることが判明。長男出産後1年で体調を崩したが、その時に夫が胃がんで全摘手術をしなければなくなった。こんな時に彼女もB型肝炎で入院を余儀なくさせられた。
「『早く元気になって欲しい』という夫の言葉を胸に、私は1日おきにインターフェロンを受けました。インターフェロンを始めるとひどい頭痛におそわれ、血管を締め付けられるような痛みで、坐ることも歩くことも話すこともできなくなりました。またインターフェロンを始めてから、誰かが後ろから着いてきて殺されるような感じになったりするなど不安感や恐怖心を生ずるようになりました。 中略 夫や子どものことが心配で、何度病院を抜け出そうとしたことか。けれど『元気になって欲しい』という夫の言葉を思い出して思いとどまりました。2カ月半の時間が、何年、いえ何十年のような長さに感じました。朝から晩まで泣いてばかりで、死ぬほどつらい日々でした。 中略 でも、これから楽しく家族と過ごしていこうという矢先の平成6年に、夫のがんが再発し、夫は他界しました。 中略 いまもがんが進行しています。今日生きられるのか。明日は生きられるのか。夜中に怖くなって、ぱっと起きてしまうこともあります。思い悩んで、動悸がしたりすることがあります。」
原告番号1370 昭和36年生まれの女性で、淡路島在住。3人の子どもはそれぞれ独立して、現在は1人暮らし。B型肝炎ウイルスに感染していることが判明したのは長男妊娠時。子どもへの感染の恐れがあること、トイレやシャワーは他の妊婦とは別にするよう言われた。
「更に、追い打ちをかれるように、姑や夫の姉からは『怖い』『子どもの結婚の障害になる』『そんな病気だと知っていたら結婚させなかった』『家族も同じような目で見られるから誰にも話すな』という言葉を投げかけられた。」 中略 「平成24年3月、病院のポスターを見て、B型肝炎訴訟のことを知り、参加しようと思っていることを家族に伝えました。ところが夫の姉からは、『これまで病気で迷惑をかけてきたうえに、更に家族に迷惑をかけるつもりなのか』と猛反対されたうえ、『病気っていうだけでも子どもたちの結婚の障害になるのに、裁判なんかしたら家族全員が病気と思われるわ』と罵声を浴びせられました。」 中略 「その後、訴訟の資料を集めるため市役所に出向き、手続きを済ませて待っていると、市の職員の方から『B型肝炎訴訟などしてどうする』『お金のためか』、等と信じられない言葉を投げかけられました。その場にいた他の職員や来庁者からも白い目で見られ、私自身がとても悪いことをしているような気持に陥りました。」
この二人を含めた意見陳述者の話を聞くと、B型肝炎、B型肝炎訴訟についての正しい知識の普及が決定的に大事だと思う。行政はもちろん、私たち原告団・弁護団もこの事については国民に対し積極的な働きかけをしなければと感じた。
また裁判では長野弁護団長が、「再発がんの除斥適用問題についての意見」を述べた。民法724条(『不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。』)の除斥期間の起算点が、B型肝炎訴訟の被害者に対し多大の不利益をもたらしており、その改善を求めたものである。
裁判の後、報告集会と原告団総会が行われた。報告集会では、特別講演として「HIV訴訟 和解以後の活動とこれから」と題して、若生治友さん(ネットワーク医療人と人権MERS 理事長)の話しがあった。薬害肝炎訴訟の原告がしている裁判和解後の活動が話されたのだが、これからのB型肝炎訴訟原告団の活動に多くが生かせるものであったと思う。
大阪地裁の今後の期日は、8月30日、11月1日、1月31日、3月14日。
今後の会議・イベントは、
○6月28日(金) 基本合意2周年記念集会(東京)
○7月13日(土) 大阪原告団総会(医療講演会:特措法説明会 講師:八橋弘先生)
○7月28日(日) 世界肝炎デー 徳島でも市民公開講座:13:00〜15:00 あわぎんホール 入場無料
医療講演会 & 弁護士によるB型肝炎特措法説明会・個別相談会
○ 日時 2013年6月22日(土)13:30〜17:00
○ 場所 とくぎんトモニプラザ(徳島県青少年センター) 徳島市徳島町城内2番地1【電話】088-625-3852
○ プログラム
第1部 医療講演会 13:30〜15:00
演題:「肝炎・肝硬変・肝がんの最近の治療」
講師:矢野 充保先生(徳島県立中央病院・臨床腫瘍センター長)
第2部 徳島県の助成制度について 15:00〜15:10
徳島県健康増進課 感染症・疾病対策室
第3部 B型肝炎特措法説明会・個別相談会 15:10〜17:00
全国B型肝炎訴訟大阪弁護団が、B型肝炎患者の方一人一人に対して、個別相談会を実施します。通常の電話相談ではなく、直接会って弁護士と話をしてみたい方はぜひお気軽にお越しください。
主として、B型肝炎特措法に基づく救済要件に該当するかについてご説明いたします。
○費用無料・事前予約不要
我が家の絵馬 大阪:少彦名神社 2010年9月8日購入
俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
○現(うつつ)か夢か幻か 身を持ちながら 遊べや謡(うた)へ 酒呑みて
○我は菖蒲(あやめ)の ねにこそ泣かめ 引くな袂の 露けきに
○更けて砧の 音より聞けば 月に落ち来る 我が涙
ブログを更新していると、しとしと雨が一転して、雨が沛然と降りだしてきた。雨不足で困っていた農家にとっては恵みの雨になることだろう。