「安倍改憲政権の正体」 斎藤貴男

 徳島では、梅雨入りしてから初めての本格的な雨降り、雨不足が深刻だった農家は、どこも喜んでいる。

 参議院議員選挙が近づいてきたが、安倍政権は憲法改正・消費税増税・TPP参加・社会保障の切り捨てなど、国民生活破壊の道を進んできている。

安倍改憲政権の正体 (岩波ブックレット)

安倍改憲政権の正体 (岩波ブックレット)

 4月28日には政府主催で「主権回復・国際社会復帰を祈念する式典」を沖縄県民をはじめとする、多くの国民の反対を押し切って強行開催した。
 1952年のこの日は、アメリカなどの連合国諸国と日本との戦争状態を終結させたサンフランシスコ講和条約が発効した日だが、沖縄や奄美群島小笠原諸島は、アメリカの信託統治下に置かれたままだった。私の両親は奄美群島沖永良部島育ちだったから、喜んでいたという記憶は私にはない。奄美群島が返還されたのは1953年(昭和28年)12月25日であった。この日には、これからは自由に沖永良部にも行き来できると両親や島出身の人たちは喜んでいた。
 沖縄が日本に復帰したのは1972年5月15日。しかし、沖縄にはまだ在日米軍基地の74%が集中し、しかも沖縄における在日米軍基地、在日米軍専用施設の面積は沖縄県面積の約10%、沖縄本島の約18%を占めているというのだから、今なお沖縄はアメリカの軍事植民地といえる。
 そういう状態を全く無視して「主権回復の日」と強弁するのは、日本国家の首相としての資格が無いともいえよう。

 著者は安倍政権の本質について、「安倍政権が目指す日本の将来像は明確です。彼の中で『戦後レジーム』とは戦争を否定する日本国憲法を指すのであって、アメリカの属国であることの問題意識はかけらほども存在していません。いえ、言葉の印象から導かれる一般の期待とは裏腹に、安倍さんはその現実そのものは嬉々として受け入れ、よりいっそうアメリカに貢献し得る、つまり日本の属国としての値打ちを挙げることに尋常ならざる使命を燃やしているように、私には見えます。」としている。全くその通りなのであろう。
 従って、憲法改正も、教育改革も、TPP参加も、原発の再稼働も、その線に沿った政策である。
 安倍首相の祖父は岸信介元総理大臣。この岸信介は、戦前満州国の官僚として辣腕をふるい、また1941年(昭和16年)10月に発足した東條内閣に商工大臣として入閣。太平洋戦争中の物資動員の全てを扱った。その物資動員には、中国人の日本への強制連行も含まれていた。
 岸信介A級戦犯容疑者として逮捕された。東京の巣鴨拘置所に収監されたが、冷戦の激化に伴いアメリカの対日政策が大きく転換(逆コース)され、日本を「共産主義に対する防波堤」と位置づけ、旧体制側の人物を復権させたため、戦犯不起訴となった。
 従って、安倍首相が強制連行や慰安婦問題に否定的な態度をとるのは、理由があるのである。



我が家の絵馬 茨城:常盤神社  2005年2月4日購入


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
〇これも流石(さすが)に  哀れる添ふる 小田の蛙(かはず)の 暮れの声
〇君に別れて 松原行けば 松の露やら 涙やら
〇春の鶯 何を着て寝やる 花を枕に 葉を掛けて