「肝がんで死なないために」 と 「『本当のこと』を伝えない日本の新聞」

 今年の日本肝炎デーは、徳島市のあわぎんホールで日本肝臓学会四国地区の行事として、市民公開講座「肝がんで死なないために」と題して行われる。
 ポスターが届いたので、お知らせする。多くの方の参加で一日でも早い肝がん撲滅の実現が図られるよう、徳島肝炎の会も協力したい。(参加費無料、事前申し込み不要)
 演題と講師は、
 ①メタボと肝がん:中牟田 誠先生(九州医療センター消化器科)
 ②最新の肝炎治療:正木 勉先生(香川大学 消化器科・神経内科
 ③肝がんに対する内科的治療:日浅 陽一先生(愛媛大学 消化器内科)
 ④肝がんに対する外科的治療:高田 泰次先生(愛媛大学 肝胆膵・移植外科)



「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)

「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)

 本の帯には、「なぜ新聞は『権力者の代弁』ばかりを繰り返すのか」「日本取材歴12年の米国人ジャーナリストが明かす『3.11と新聞の敗北』の裏側」とあった。
 新聞だけでなくテレビも含めて、3.11東日本大震災の時の東電の福島原発事故の報道は、全く国民の知りたいことからかけ離れていたように思う。原発事故の重大性・危険性、今何が原発でおこっているのかがさっぱりわからない状況であった。
 著者は「はじめに」で、「新聞は国民のために何を報じたか。本書を手に取った読者がいちばんご存じのことだが、3.11前と変わらず、当局の記者発表やプレスリリースを横流しする報道に終始した。結果的に日本の大手メディアは、当局の隠蔽工作に加担することになってしまった。それは同時に、私が日本における取材活動のなかで強い不満を覚えていた『記者クラブ』制度が抱える矛盾が、日本国民の前に一気に表出した瞬間でもあった。」と指摘している。
 B型肝炎訴訟に関わっている私は取材に来る記者たちの熱意と正義感は身に染みるほど理解されるのだが、残念ながら組織としては著者のマーティン・ファクラーの指摘する通りになっている。
 日経新聞は勿論だが、読売・朝日なども企業・会社重役とべったりの関係だから、いざというときに踏み込んだ取材をしたり、厳しく不正を指摘できなくなって、結局は国民の目線から離れた記事になってしまっている。現場で自分の目で確かめた事実に基づかないで、当局の流した事だけで記事を作っていれば良いということになってしまっているのではないだろうか。
 著者は、東京新聞や地方紙、週刊東洋経済などにまだ希望を持っているようだ。新聞各社が「記者クラブ」に依存した時代は間もなく終わるだろうと予見しているが、その時に、大企業・富裕層にではなく国民目線に立った報道がされるべきであろう。
 著者は、記者として働き始めたころに先輩が教えてくれた言葉を紹介している。

 「A good journalist needs a sense of moral outrage.」
 良いジャーナリストには正義感(悪に対する人間的な怒り、義侠心)が必要だ。

 「記者クラブの本当の被害者は、私たち海外メディアの記者ではない。日本の雑誌・ネットメディア、フリーランスの記者たちは自由な取材を阻害されている。大手メディアの若い記者は、ジャーナリズムへの志があってもやりたい取材ができない。だが、一番の被害者は、日本の民主主義そのものだ。『権力の監視』という本来の役割を果たしていない記者クラブメディアは、権力への正しい批判ができない。」という著者の言葉は重い。
 大企業・富裕層・政府に対する提灯記事ばかりを書いている、マスメディアに猛省を促したい。




我が家の絵馬  滋賀・石山寺



どどいつ入門(中道風迅洞 1986年 徳間書店
さみだれ閉めた戸 がらりとあけりゃ 嵯峨沢夕月 わさびいろ
〇カレーが匂う どこかの家で 町中稚(おさな)い 妻ばかり
〇いっそ死のうと のぞいた崖の 下でメスオス しのび逢い