全国B型肝炎訴訟基本合意成立2周年記念「B型肝炎医療講演会とB型肝炎特別措置法説明会」

 昨日(7月13日)は、『全国B型肝炎訴訟基本合意成立2周年記念「B型肝炎医療講演会とB型肝炎特別措置法説明会」』という長い名称の会が大阪であったので参加した。
 会は大阪肝臓友の会と全国B型肝炎訴訟大阪弁護団の共催であった。会場の西成区民センターには、猛暑の中120名余りが参加した。相談会には13組があった。
 医療講演会の講師は、「B型肝炎治療と療養 HBs抗原量に着目して 肝炎患者の生活実態調査から見えてきたもの」と題して、八橋弘先生(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター長)であった。
 日本人の肝がん発生リスクは、一般人と比べB型肝炎ウイルス感染者は45.8倍で、C型肝炎ウイルスに感染している人は101倍になっている。従って、このウイルスを身体から排除することが重要になる。B型肝炎キャリア―の肝がん進展リスクは、女性より男性、年齢が高くなるほど、肝がんの家庭歴があるほど、飲酒習慣があるほど、HBs抗原陽性者ほど、HBV DNA量が多いほど、危険性が高まる。このリスクを点数化しているのだが、10点を越えるところから肝がん発症の危険性が増してくる。そして、HBV DNA量と発がんの関係では、50歳以上のB型慢性肝炎患者では、HBV DNA量は、肝がん発生リスクと関連していると指摘した。
 ①男性
 ②50歳以上
 ③HBs抗原陽性でHBV DNA量5.0Log以上
 ④お酒を毎日飲む

 この4つの条件が揃う(総計すると21点になった。 私の総点数は12点であった)と、10年以内の肝がん発生率は70% であると今までの治療の現場から分かったとした。
 B型肝炎の最近の治療法もB型肝炎の診断基準となっているHBs抗原そのものを、各種治療法で早期に消失させる方法に向かい始めており、その代表的な治療薬がペグインターフェロンで、そして数年以内にわが国でも使用できる見込みとなっているテノホビルという内服の抗ウイルス剤に、その期待が寄せられていると話された。

 八橋先生は、「〜肝臓病患者さんの病態と生活に関するアンケート調査〜より良い毎日のために 『病態別の患者の実態把握の為の調査』および『肝炎患者の病態に即した相談に対応できる相談員育成のための研修プログラム策定 』に関する研究のための肝臓病患者の病態と生活の調査  という大変長いタイトルの調査を行った。これは厚労省の「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会」において、B型肝炎訴訟の原告団弁護団から検討会に加わった委員らの努力によって実現された調査であった。
 この中の「肝疾患患者に対するアンケート調査」では、9,952名の調査対象者から6,331名の回答(回収率63.6%)を得た。設問数、調査項目212項目にもなる大変な調査であった。
 この調査の詳細は厚労省のホームページから見て欲しい。アンケートに答えた肝炎患者の全体像、感染経路、差別、B型肝炎治療、仕事、ストレス、悩み、相談、国への対策、患者さんの声などが詳細に分析されている。
 病気については肝炎ウイルスが身体から駆除されると、悩みストレスの頻度は半減すると分析している。
 肝炎患者の悩みは、①仕事、家事を減らした、辞めさせられた ②差別を受けた経験 ③病気の進行(肝硬変、肝がん) ④ウイルスの残存 であった。
 また、国の肝炎対策の推進で重要と患者が考えている事は、
 ①肝炎患者(肝硬変・肝がん患者を含む)の医療費・生活支援 3,999人(63%)  ②肝炎などの治療薬、治療方法などの開発、保険認可 4,074人(64%) が多くを占めた。
 八橋先生も言っていたが、今後も国がこの2項目を中心にして肝炎対策を推進してほしいと思うし、私たちB型肝炎訴訟原告団弁護団もこの追求・実現を怠ってはならない。また八橋先生は、患者の悩みについて長い臨床経験の中で患者と接触しているので分かっていると思っていたが、実は分かっていなかったと語ったことが印象的であった。

 医療講演会の後は、B型肝炎特措法相談会と並行して、大阪原告団の役員会が行われた。役員会には普段は徳島で遠く離れているため参加できないが、今回は医療講演会とリンクして開催されたので参加することができた。参加した役員の皆さん、弁護団の皆さんの熱心さがうかがわれた会議であった。




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