干し芋見学

 9月27日28日に茨城県の水戸に行って、干し芋作りの見学に行ってきた。勿論、今の時期は干し芋は作られていないが、いろいろと作り方について教えてもらった。これは私が理事をしているきのこハウスが障害者の工賃増やしをどうするかについての一環の見学であった。理事長の横田さんと二人で訪問した。以下はその報告文。とにかくみなさん、熱心に教えてくれて頭が下がる思いがした。


干し芋施設視察報告

日 時:2013年9月27日〜28日
訪問先:①幸の実園(知的障害者更生施設 茨城県東海村石神内宿1213)
②ボイス社(特定非営利活動法人 茨城県水戸市平須町1657-11)
③有限会社常澄農作業支援センター(農業生産法人 茨城県水戸市塩崎町1078-3)
参加者:横田弘一・有川哲雄・江尻加那(水戸市議会議員)
    江尻議員の紹介で、上記三施設を訪問した。
報告
 ①幸の実園
  法人概要については、http://www.aishinkai.jp/index.php?id=2参照 東海村原子力発電所まで、直線距離で2キロほど。東日本大震災の時は、危うく電源が落ちそうになったがなんとか予備の電源でしのぐことができた。
  代表者 理事長 村上 忠夫 、法人設立年月日 1983年8月 1970年5月 幸の実ホーム 開設
  干し芋作りについては、支援部長の小倉健二さんから説明を受けた。農作業ではカゴメの加工用トマト栽培(500万円の収入)と干し芋作業(2,000万円の収入)が中心になっている。どちらも反当たり30万円程度の収入になっている。
  干し芋は乾燥野菜扱い。PL法を順守し、クレームに対処するため保険にも加入している。作業している人に対し、障害年金65,000円に35,000円の工賃(時間給690円に設定している)を確保できるよう努力している。
  主に植えている芋の品種は、タマユタカ、イズミ13号、タマオトメで、5町歩で栽培しているが生芋の自家生産量は全体の1/3で残りは他から調達。肥料は芋専用のものがある。利用者20名、職員10名で仕事をしている。
  5月末に植えつけ、10月から収穫。加工はその後2月初旬まで。消毒は年1回程度。ヨドムシが発生しない場合は消毒薬を散布しない。生芋(110トンぐらい)を干し芋にすると、皮むき・乾燥で最初の量の3割程度になる。キアリングで、さつまいもを30℃以上の高温・多湿度の室内に一週間ほど置いた後、一気に12℃ぐらいまで温度を下げる処理を行う。これによってさつまいもは自ら雑菌の侵入を防ぎ、品質を保ちながら熟成していくので、より糖度を増した美味しいさつまいもになる。かまどで蒸すのは芋の大きさによるが2時間程度。余りむしすぎると甘さが失われる。かまどの燃料は建築廃材などを使っている。芋は6日間ぐらい天候を見ながら天日干しにしている。天日干しには風通しが大切。そうでないとカビが出る恐れがある。干し芋の保存はハウス内で行っている。気温が零度以下になるといけないので、稲のもみ殻をビニール内に10センチ程度敷いている。茨城では天日干しに使う道具、芋を切る道具などはホームセンターで購入できる。大きい芋は切って平干し、小さい芋はそのまま丸干しにしている。丸干しの乾燥は10日程度かかる。まだ原発事故の影響があって、販売が以前通りには回復していない。かまどは効率的に蒸すために自動車のタイヤ(12インチ)を半分に切ったものをかまどとの間に使って、蒸気が抜けないように蒸していた。干し芋の賞味期限は3週間から1カ月程度。最近は、柔らかい干し芋を好む人が増えてきている。粉が吹いている干し芋は日が経って堅くなった証拠であまり好まれない。

②ボイス社
  法人の概要については、http://voice2000.sakura.ne.jp/参照
代表者 濱 史郎 法人設立日 2006年4月1日 2000年4月開所 きょうされんに加入している。説明を受けたのは副代表理事の濱千鶴さん。
トマピーの栽培が特徴。トマピーはトマトの様な形をした新種のパプリカ。トマピーにはピーマンの様な独特の苦味や臭いがほとんどないので、ピーマン嫌いの子供たちでもサラダとして生で食べられる。トマピーのビタミンCはレモンの2倍もあり、野菜の中でもトップの含有量になる。30mほどのハウス3棟に植えられている。点字の名刺印刷(1枚15円)も行っている。比較的軽度の利用者が多く自分たちで通所できる人ばかり。また、職員も若い人が多い。月22日〜23日通所。工賃は毎月2.6万円〜1.7万円程度。
 
③有限会社常澄(つねずみ)農作業支援センター
 対応してくれたのは、代表取締役会長の田口勝信さん。
 干し芋が主な収入源になっている。「丸干し干し芋」の開発による干し芋の販路開拓、生産拡大、自社生産のさつまいもを使い付加価値の高い丸干し干し芋の製造・販売により経営の安定化を図る。農林水産省の「総合化事業計画」24年度第1回認定になっている。売り上げは年間1億円程度で、8割は干し芋による収入。芋の植えつけは7ha。品種は、アンノウ黄金、タマユタカ、ベニハルカなど12種ほど。300トンほど生産。自社以外では鹿児島・種子島・京都・北海道などから芋を購入。北海道のタマユタカは作りやすい。ベニハルカが一押し。しかし、生産地域・土・気候によって味は違ってくる。とにかく、やってみることが大事。作り初めて10年になるが、5年はうまくできなかった。干し芋は見た目のきれいさやつやが大事。ここの干し芋は飴色でつやつやしており、他店の商品と比べると各段と違っていた。見るからに美味しそうであった。甘くてきれいにこだわっている。芋はふかし過ぎると甘みが落ちるので注意が必要。干し芋の全国生産量の8割は茨城産。苗の販売もしている。50m・3間半のハウス5棟で芋を生産している。ハウスですると早くできる。露地栽培はだめ。茨城では3月に芋伏せをし、5月20日前後に植えつけ。120日前後で芋が収穫できる。芋を収穫したら1週間ほど土地に置いておく。冷蔵庫に入れて糖度を上げる。収穫した時は糖度8度程度で2週間すると糖度が上がる。霜が下りるまでに掘り上げる。掘った後の保管が大事。草取りが大事。消毒は年1回程度。苗は3月上旬までに注文してくれると手配できる。苗幅は25㎝から5㎝幅で植えつけてみて実験するとよい。また苗についても何種類か実験をして徳島にあったものを見つけることが大事。水はけがよいところで栽培を。冷蔵庫で7度程度の糖度を15度程度に上げる。芋は大小・収穫時期で糖度が違う。蒸した芋は10ミリぐらいでスライスする。ここでは天日干しをしていない。天日干しはごみなどがつくのでここでは乾燥器が良いと考えている。天日だと6日ぐらいかかるが乾燥機だと2日で仕上がり、仕事の段取りもしやすい。冷凍庫を備えているので、1年を通じて干し芋が作れる。乾燥機(四国香川県高松市 ユニマック)・蒸す機械などは茨城店舗設備株式会社(電話029-248-0470)が扱っている。干し芋は常温で長いこと保存できるが、賞味期限は丸干し45日、平干し60日にしている。干し芋のパックは半真空にしている。パック詰めの一部は障害者施設に委託している。




我が家の絵馬  三重・那智社  2007年9月3日購入



どどいつ入門(中道風迅洞 1986年 徳間書店
○捨てたからだだ 七両二分も どこから斬るなと 縛るなと
○雨のふるほど うわさはあれど ただの一度も ぬれやせぬ
○夢でなりとも 逢いたいものよ 夢じゃ浮名は 立ちはせぬ