あの人と、「酒都」放浪

 秋になり、日本酒がおいしい季節になったので、この本というわけではない。13人の居酒屋通が自ら足を運んだ、おいしい居酒屋を紹介してくれる。私の場合は、もっぱら自宅で飲む方で、めったに居酒屋には行かない。
 登場するのが、「太田和彦森下賢一鷲田清一佐々木幹郎都築響一吉田類吉永みち子、エンテツ、藤原法仁、倉嶋紀和子、浜田信郎、なぎら健壱橋本健二」いろんな職業の持ち主だ。著者の小坂剛はこれらの人物について、「取材に協力してくれた人たちはみな陽気でスマート。決して乱れず、明るく酔っぱらう『愉快な呑兵衛』だった。」と評している。取材者も多分そうなのだろう。
 社会学者の橋本健二は「21世紀の日本。若者の就職は厳しく、正社員への道は狭き門となった。『会社に入って10年後に車を買い、さらに10年後に家を買う。そんな人生設計が成り立たなくなってきている。消費者を育てない企業は、自分で自分の首を絞めているのではないでしょうか。』と語っているが、13人が紹介し薦めるている居酒屋は、まさにその正反対で、客を大事にし気分よく憩うことができる雰囲気を作り出し、客とともに生きていると感じさせられた。安倍政権で若者ばかりでなく中年の人たちまで雇用がますます不安定になり、大企業だけが生き延びていく感じだが、近いうちに橋本健二の話が現実のものとなるだろう。いつまでも、おとなしい羊でいられる時代は続かない。
 また、町工場経営者の藤原法仁は「高級な店に行くと、『事業で失敗したら、もうここでは呑めないだろうな』と落ち着かない気持になるが、大衆酒場では『ここから頑張っていこう』と明日への活力をもらえる。」と語っている。
 私なんぞは高級な店は端から縁がないので、そんな取り越し苦労は持たない。

 明日からは東京でB型肝炎訴訟の恒久対策の学習会があるので行ってくる。昨日・今日と「ブログでB型肝炎訴訟」の袋詰めや配布を行っている。案外疲れる。




我が家の絵馬  岐阜・飛騨総社



どどいつ入門(中道風迅洞 1986年 徳間書店
○遠くはなれて 会いたいときは 月が鏡に なればよい
○意見されれば ただうつむいて 聞いていながら 思いだす
○恋の淵瀬に 身を投げ島田 浮くも沈むも 主次第