北京短期語学留学③

 1月9日(木)も晴れで6時45分に起床した。K谷さんは少し体調を崩したようであった。今日の授業は、「相識」で「您貴姓」などと言って、初対面の挨拶を交わすところであった。「一」と「不」の区別や、北京一の繁華街王府井への行き方も教わった。授業の合間に「故宮」の紹介のパワーポイントもあった。学内で使えるカードを50元で購入し、昼食は学生食堂で7元のワンタンを食べた。
 午後からは皆で人民広場・故宮・白塔(入場料10元だが高齢割引で半額)・北海公園(入場料5元だが、同じく半額)・九龍壁などを散策した。地下鉄天安門東駅で降りると、傍に天安門の地図が掲示されていた。K谷さんはその地図をもとに今日行くところを説明してくれた。人民広場を歩いていると男性が近寄ってきて案内すると言う。もちろん有料なのだろう。何度も中国旅行をしているK谷さんが俺が案内人だというと、すごすごと姿を消した。故宮を取り巻いている筒子河は一面凍っていた。大きな石を投げ入れても割れない。
 この日は民大の日文3年生の柳青(朝鮮族)さんも同行していろいろと教えてくれた。天安門広場前の人民公会堂には大きな毛沢東肖像画掲げられている。彼女に毛沢東はどうかと質問してみた。彼女は毛沢東は尊敬している。両親も毛沢東選集を読んだことがある。文化大革命は大きな誤りだが、功績のほうが大きいと、模範解答をした。そこで、中国の歴史教科書では毛沢東についてどう書かれているか知りたいと思った。九龍壁の前で彼女がその謂れを説明してくれた。若いのになぜ知っているのかと聞くと、中国の小中高校などの教科書に出てくるという。
 もとは「大圓鏡智寶殿」を本殿とする寺院の、前門の「照壁」(しょうへき zhào bì)だったが、寺院の建築物はみな焼失してしまい、この「照壁」だけが残っている。
(「照壁」とは門の外側の目隠しの壁。門をくぐった内側の目隠し壁は「影壁」(えいへき yĭng bì)という。)

 

 雲海を飛ぶ九龍を中心に、壁の両面に計635匹の龍を瑠璃磚(せん)で描いた照壁(正門前に立てる目隠し)高さ約5m、厚さは約1.2m、幅は約27mもあり中国国内で故宮をはじめとする3ケ所に現存する九龍壁の中で、最も美しいといわれている。とガイドブックには記述されていた。学生たちに中国語を教わったり、観光地などを案内してもらうには1時間25元のバイト料を支払う。割り勘なのでこの日の支払いは一人当たり30元。夕食はモンゴル料理で45元であった。



夕闇の白塔


 北京の街はテレビ報道の汚れた空気とは違い、天まで澄み切っていた。私たちの宿舎は大学の西門の前にある。東側の正門の前は片道4車線もある幅広い通りで、道の両側の建物も大きく、食堂の店構えも堂々としている。西門の前の通りは裏通りといっても良いのだろうか。片道1車線で、小さな食堂や小売店が軒を並べている。人通りも若い人が真に多い。信号は車も人もほとんど無視。ウインカーを出す車は滅多にない。夜になると屋台がたくさんでている。食べ物の食い散らかしは当たり前で、道は油黒く光り歩きなれないと危ない。とにかく、夜遅くまで活気のある通りである。



我が家のだるま  会津若松 おきやがりこぼし 1991年1月


どどいつ入門(中道風迅洞 1986年 徳間書店
○切れる心は さらさらないに 切れたふりする 身の辛さ
○面のにくさよ あのきりぎりす 思い切れ切れ 切れと鳴く
○雪の降る夜も 千鳥は来るに 来ぬにきまりし 畳ざん